#7 甘木駅/甘木鉄道
福岡県中央部を走る3セク
国鉄甘木線から転換
天神、博多駅まで1時間弱
甘木鉄道は、福岡県朝倉市の甘木駅から佐賀県基山町の基山駅までの路線。全長13.7km、11駅の短区間ながら2つの県をまたいで走っている。前身は国鉄甘木線で、1939年に大刀洗陸軍飛行場への軍需輸送のために敷設された。その後、1986年の国鉄民営化時に、朝倉市と周辺自治体のほか、組合や商工会、企業、沿線住民が出資して発足した第3セクターだ。甘木駅-基山駅間を、ディーゼルカーが25~29分で結び、平日42往復、土日33~36往復が運行されている。途中の小郡駅から徒歩5分ほどの西鉄小郡駅で急行電車に乗り継ぐと福岡(天神)駅まで1時間15分~20分。また、基山駅はJR鹿児島本線・基山駅に隣接していて、快速電車に乗り換えると最短53分で博多駅に到着できる。実際、朝夕は多くの通勤・通学客が利用している。
甘木駅の木造駅舎は一部2階建て、美しい瓦屋根が特徴。駅舎内には、甘木鉄道本社をはじめ観光協会、旅行会社が入居している。”筑前の小京都”と称される秋月城下町へ、駅前から出発するバスで約20分。春には、駅前ロータリーに桜が咲き誇り、歴史を感じる駅舎と桜の花が絶妙なコントラストを描いている。
甘木鉄道・甘木駅のすぐ近くに、西鉄甘木線・甘木駅がある。西鉄甘木線は甘木駅―宮の陣駅17.9km、12駅の路線。天神大牟田線の大牟田行に加え花畑、西鉄柳川行の区間列車が1日39本運行。宮の陣駅で急行電車に乗り継ぎ、福岡(天神)まで最短1時間14分で結ぶ。西鉄甘木駅の小さな駅舎は、国道322号沿いに佇み、時の移ろいを感じる木造造り。駅の隣には、温泉付きの大きなビジネスホテルが建ち、対照的な雰囲気を醸し出している。
再び、甘木鉄道・甘木駅に戻り駅舎を抜けて、車両留置線の踏切を渡ってホームに向かう。短編成の車両にはもったいないほどの長いホームや広い構内は、蒸気機関車による貨物輸送が華やかな頃の名残だろう。夜の帳が降り、1両編成の列車がディーゼル音を響かせ発車して行くと、駅は静寂に包まれた。
(文・写真 東 淳二郎)
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