桐箪笥 〜
美しさの中にも芯のある強さを秘めた桐の良さを引き出し、喜びを届けたい。
木目の美しさと引き出しのスムーズさが特徴の桐箪笥(きりたんす)は、防湿性に富み火に強いことから、家財を守る耐久性の高い家具として、古くより親から子、子から孫へと代々親しまれてきたものです。今回お話をうかがった高橋敏之さんは、日本で有数の家具産地として知られる大川で、家具職人を20年経験。その後、桐の美しさに魅せられ、桐箪笥職人となりました。
高橋さんが桐箪笥職人をめざしたのは、世の中が高度経済成長期を迎え、職人が手作りしていた家具製作においても量産体制が可能になった頃。そのような時勢の中、材選びから、組み立てまでを一人の職人が仕上げる桐箪笥に、家具職人の血が騒いだのでしょう。
桐の特性を熟知した高橋さんの箪笥づくりは、細部にまで余念がありません。丸太の状態から自分が選んだ理想の桐を会津から取り寄せ、製材や、板に焼きを入れてまっすぐにする作業も、仕上げに塗る夜叉倍子(やしゃふし)の実の煮汁と、との粉の調合も全て自身で行っています。もちろん、組み立てにおいても心を尽くします。桐はとても柔らかな木です。刃の角度を浅く調整した鉋(かんな)を操り、板の表面や、家具の角が滑らかに仕上がるよう削っていきます。
また、桐の吸湿性を生かして、鉄釘を使わずに木製の釘・うつぎを使うのもこだわりです。桐が割れるギリギリ寸前までうつぎを打ち込む力加減は、高橋さんの耳が頼り。微かな音を聞き分け、うつぎを打ち込みます。高橋さんに桐の良さを尋ねると「美しさと、大切なものを守り抜く強さ」とのこと。「湿気や火に強い桐は、箪笥の中へ大切にしまった物や、家具そのものにまつわる思い出を長い間守ってくれます。
家具をお渡しする時はもちろん、使う喜びをずっと感じてもらえるような家具を作っていきたい。お客さまに喜んでもらう事が何よりうれしいんです」と語る高橋さん。「まだまだ発展途中」と自身を鼓舞し、家具製作に励んでいます。
高橋さんが桐箪笥職人をめざしたのは、世の中が高度経済成長期を迎え、職人が手作りしていた家具製作においても量産体制が可能になった頃。そのような時勢の中、材選びから、組み立てまでを一人の職人が仕上げる桐箪笥に、家具職人の血が騒いだのでしょう。
桐の特性を熟知した高橋さんの箪笥づくりは、細部にまで余念がありません。丸太の状態から自分が選んだ理想の桐を会津から取り寄せ、製材や、板に焼きを入れてまっすぐにする作業も、仕上げに塗る夜叉倍子(やしゃふし)の実の煮汁と、との粉の調合も全て自身で行っています。もちろん、組み立てにおいても心を尽くします。桐はとても柔らかな木です。刃の角度を浅く調整した鉋(かんな)を操り、板の表面や、家具の角が滑らかに仕上がるよう削っていきます。
また、桐の吸湿性を生かして、鉄釘を使わずに木製の釘・うつぎを使うのもこだわりです。桐が割れるギリギリ寸前までうつぎを打ち込む力加減は、高橋さんの耳が頼り。微かな音を聞き分け、うつぎを打ち込みます。高橋さんに桐の良さを尋ねると「美しさと、大切なものを守り抜く強さ」とのこと。「湿気や火に強い桐は、箪笥の中へ大切にしまった物や、家具そのものにまつわる思い出を長い間守ってくれます。
家具をお渡しする時はもちろん、使う喜びをずっと感じてもらえるような家具を作っていきたい。お客さまに喜んでもらう事が何よりうれしいんです」と語る高橋さん。「まだまだ発展途中」と自身を鼓舞し、家具製作に励んでいます。
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桐匠 高橋工房の代表として大川総桐箪笥を手掛ける桐箪笥職人。家具職人暦としては半世紀を迎えるベテラン。一からの箪笥づくりはもちろん、壊れたり汚れが目立ってきた箪笥づくりはもちろん、壊れたり汚れが目立ってきた箪笥の修理等も手掛けている。
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匠ギャラリーにて『大川彫刻と桐タンスの二人展』
2009年1月4日(日)〜11日(日)まで開催!
【10:00〜18:00(初日12:00から最終日16:00まで)】
▲上から夜叉倍子の実を煮出した煮汁、夜叉倍子の実、との粉。
▲板目が美しい模様を描くように材を選び、一枚板へと繋ぎ合わせていく。
▲美しい仕上がりに一役買ううつぎ。道具は、丹念に手入れがされている。
▲板は厚いほど上質の証。板に焼きを入れてまっすぐにすることで削らずに済む。