≪福岡グランドクラシックス2009≫ マリア・ジョアン・ピリス ピアノリサイタル 公演レポート
福岡に春を告げる音楽祭
「福岡グランドクラシックス 2009」がいよいよスタートです!
期待の開幕公演はマリア・ジョアン・ピリス ピアノリサイタル。
県外からも多くのお客様にご来場いただき、その人気の高さがうかがえました。
ショパンの亡くなる前の3年間に作られた曲を中心とした“ショパンへのオマージュ”ともいえる今回の公演。ピリス本人の「静寂の時間を聴衆と共有したい」という要望により、第1部・第2部ともに曲目間の拍手をご遠慮いただくよう、お客様にはお願いいたしました。
静寂の中に張り詰めた緊張感と、その中に響く繊細で美しい音色は、いつもにも増してホールの一体感を味わえる素晴らしい公演となりました。
以下は公演プログラムからの抜粋です。
I.S.
「本日のプログラムに寄せて」
「プログラムの中では、作曲家の天性の楽器であったピアノのソロ作品と、ショパンが作曲した数少ない、そして最後の室内楽作品チェロとピアノのソナタなどが交互に演奏されます。
プログラムの中には、ポーランドの作曲家ショパンの作品ではないものが1曲だけあります。
あの巨匠フランツ・リストの「悲しみのゴンドラ」です。
マリア・ジョアン・ピリスとパヴェル・ゴムツィアコフは、特別にこの曲をショパンへの賞賛として選びました。
そのような思いで作曲されたわけではありませんが、偉大なる芸術家の死に対する遺憾の思いが確かに伝わってきます。
最後の曲はマリア・ジョアン・ピリスの演奏で、ショパンが最後に書いたマズルカop.68-4です。
この曲はまさにこの作曲家の最後の作品です。
演奏家は演奏後、天才作曲家の見事な“声”に敬意を表して沈黙をいたします。
アンコールはありません。
ショパンの音楽が、私たちの記憶と心の中にいつまでも響き続けますように。
マリア・ジョアン・ピリス」