「ACROS」2016年5月号
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 哀愁を感じさせる日本情緒というか、日本の北の国古来のメンタリティーあふれる曲です。それでいて激しく、ヴァイオリンの超絶技巧もいっぱいある。演奏していて感じるのは「和と洋のコラボレーション」。リズムにも民俗的・民謡的なところが取り入れられていますよ。 作曲家は自分の気持ちをすごく入れて書いているから、全ての曲の全ての音に意味がある。(伊福部先生)本人に問いかけながら弾けばいいんだろうけど、今となっては叶わないからなぁ。この曲の奥に潜んでいるものを、言葉では言い表せないことを、演奏で表現したいと思っています。 僕ら世代は全員そうじゃないかな(笑)。一作目(1954年版)は人間社会への問いかけという壮大なテーマからスタートしているわけだけど、僕が物心ついた時のゴジラって「正義の味方」。だから愛着ありますよ。ゴジラ見てなかったらまっすぐ育たなかったかもしれない(笑)。あの頃は「勧善懲悪」。ヒーローと悪役がハッキリ分かれていたから、良いことと悪いことを物語の中で学べたよね。 「音楽の力」と「映像の力」の強さを両方体験できますよ。 音楽っていうのは音だけで喜怒哀楽をバンっと表現して、一瞬にして世界中で共有できる。クラシックであれ、ポップであれ、民謡であれ、全部同じ。それはまずストレートに伝わりますよね。 このコンサートのすごさは「1954年のゴジラを上映する」という〝視覚〞が伴うところ。僕ら子どもの頃はテレビを録「音」していたんです。オープンリールで「ガッチャン」って。映像は自「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲」はどのような曲ですか?映画「ゴジラ」もお好きだそうですね。「オーケストラ・ライブ・シネマ」は、いわゆるふつうのクラシックコンサートとはどう違うのでしょうか?オーケストラの生演奏によって大スクリーンに映画『ゴジラ』(1954)が今、蘇る。~ゴジラVSオーケストラ~~ゴジラVSオーケストラ~TM&©TOHO CO.,LTD.02WADA Kaoru指揮:和田薫作曲家SHINOZAKI Fuminoriヴァイオリン・ソロ:篠崎史紀NHK交響楽団第1コンサートマスターSANO Shiroゲスト:佐野史郎俳優管弦楽:九州交響楽団合 唱:九響合唱団2016.May出演者のインタビューinterview伊福部昭の世界

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