「ACROS」2016年6月号
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が元恋人のムゼッタに向かって、“Goventù ma(「僕らの青春!」)と歌う瞬間が大好きです。いつも深呼吸をしてバナナか何かを食べます。そしてまた深く数回呼吸して、水を飲み、最後に「TOI、TOI、TOI※」と言います。※幸運を祈るドイツ語のおまじない皆さまとご一緒できることを嬉しく思います。パリとその若い恋人たちの雰囲気をお届けできればと願っています。!”PROFILE1956年福島県生まれ。音楽ジャーナリストとして「音楽の友」「モーストリー・クラシック」誌などに執筆を続けるほか、NHK・FM、JーWAVEなどラジオでもクラシック情報を発信している。舞台に上がる前の儀式はありますか?福岡のお客さまたちにメッセージをお願いします。片桐 卓也 (かたぎり たくや)はかなオペラ(歌劇)には傑作がたくさんある。クラシック音楽をあまり知らないという方でも、これだけは押さえておきたいオの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「魔笛」、ロッシーニ「セヴィリアの理髪師」、ヴェルディ「椿姫」「アイーダ」、ワーグナー「ワルキューレ」、ビゼー「カルメン」、そしてプッチーニ「ラ・ボエーム」「蝶々でなく、作品の音楽、ストーリーなどが映画、ミュージカルなどに引用されることが多い。その中の1作、プッチーニの「ラ・ボエーム」が今年アクロス福岡で上演されるので、ご紹介しよう。イタリアの作曲家ジャコモ・プッチーニ(1858〜1924)はその生涯をほとんどオペラの作曲にささげた作曲家であった。第3作目の「マノン・レスコー」が成功し、次いで作曲したのが「ラ・ボエーム」。1896年にトリノ・レージョ劇場で初演された。その時の指揮者は巨匠トスカニーニだった。「ラ・ボエーム」はフランスの作家アンリ・ミュルジェールの小説・戯曲「ボヘミアン生活の情景」が原作。ボヘミアンとは芸術家を目指し自由な生活をしている若者たちのことで、物語の舞台は1830年代のパリである。「ラ・ボエーム」の第1幕はパリの屋根裏部屋。クリスマス・イヴの日、詩人のロドルフォと画家のマルチェッロが仕事をしている。仲間の音楽家ショナールが金を稼いで戻って来て、みんなでカフェへ繰り出すが、ロドルフォだけは残って仕事をしている。そこへ扉をノックする音が。お針子のミミが火を借りにやって来た。ロドルフォとミミは急速に親しくなる。そこで歌われる「冷たい手を」(ロドルフォ)、「私の名はミミ」(ミミ)はオペラ史に残る傑作アリアだ。第2幕はカルチェ・ラタンのカフェ・モミュス。ここでの主役はムゼッタ。彼女は画家マルチェッロの元恋人。お互いにまだ相手が気になっている。そしてムゼッタをめぐって起こるひと騒動。第3幕はダンフェール門近く。居酒屋に住み込むマルチェッロのもとをミミが訪れ、ロドルフォとの苦しい恋を打ち明ける。そして第4幕は第1幕と同じ屋根裏部屋。衰弱したミミをムゼッタが連れて来るが、すでに彼女の命の灯は消えようとしていた。胸を打つストーリー、そして華麗な音楽。数々の名アリア。「ラ・ボエーム」はたくさんの魅力を持つ作品だが、今回はさらにイタリア・オペラの伝統を受け継ぐスポレート歌劇場を母体としたローマ・イタリア歌劇団が、豊富な経験を持つ歌手たちを集めて上演する。オペラは縁遠いと思っている方も、名作「ラ・ボエーム」でオペラの魅力に浸ってみよう。          美しくも儚い青春の輝きを描いた傑作オペラ「ラ・ボエーム」2016.June日 時:6月21日[火] 18:30開演会 場:福岡シンフォニーホール料 金:GS席18,000円 S席16,000円    A席14,000円 B席12,000円   (学生券6,000円)出 演:指揮/カルロ・パッレスキ ほか演 目:プッチーニ/オペラ「ラ・ボエーム」   (イタリア語上演・日本語字幕付)Chiara Isotton,Soprano2013年スポレート歌劇場「トスカ」で絶賛され、2015年ミラノ・スカラ座メータ指揮「アイーダ」でデビュー。2016年同劇場のヴェルディ「リゴレット」「二人のフォスカリ」でレオ・ヌッチ、プラシド・ドミンゴらと共演し、今夏はイタリア・マチェラータ野外オペラのダニエル・オーレン指揮「オテロ」「トロヴァトーレ」にも客演予定の注目株。03公演情報         ii【ミミ役】キアラ・イゾットン(ソプラノ)ラ夫は人」単のに10傑作作で品。あこるれとらいのうオだけペでペみラ10た。作モをー個ツ人ァ的ルなト観「点フでィ選ガんロ

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