「ACROS」2016年8月号
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ーデンマークの作曲家ニールセンの交響曲、 生で めったに聴けない作品ですね。原 雅道:九響が過去にニールセンの作品を演奏していたと聞いて、驚きました。杉上 恒明:彼の作品が演奏されること自体が少ないですからね。前に交響曲第4番を演奏したのは、2001年の定期だったかな…今回が2度目ですね。音型*1が難しかったのを覚えています。原:本当にそうですね。技術的なものを凄く求められる作品、弦楽奏者にとっては特に。彼自身がヴァイオリニストだったってところに関係しているんでしょうね。杉上:この交響曲が作曲されたのは、第一次世界大戦が始まって不穏な世界情勢の最中ですね。デンマークは戦争をしなかったけれど、近隣の国から戦況は伝わってきますね。第3部*2には、そういう不穏な感じが現れているのではないかと思います。不安を募らせるニールセンの心境が伝わってくるようです。一方で、第1部に出てくる穏やかなメロディが、第4部で少しずつ顔を出しながらエネルギッシュに再現されるところには、彼が〝不滅〞にこめた思いも感じます。原:背景にある戦争や宗教といった今の僕たちにはなじみの薄いもの…それをどこまで表現できるか、小泉監督と一緒に創りあげていくのが楽しみですね。ー演奏会の前半では、九州大学名誉ー演奏会の前半では、九州大学名誉 教授中村滋延さんの交響曲第5番を 教授中村滋延さんの交響曲第5番を 演奏されますね。 演奏されますね。杉上:中村さんの交響曲第4番を演奏したのは、一昨年でしたね。第5番も、第4番と同じく「ラーマヤナ」の物語に着想を得られたそうですね。原:近年、定期のプログラムに初演の曲が増えていて、九響で現代音楽の作品に取り組む機会も出てきました。作曲家の先生と対話しながら音楽作りができる環境って、これまではそうなかったわけです。しかも今回は福岡で生まれた作品を演奏するっていう貴重な機会。生でしか聴けない作品です。ぜひ、たくさんの方に聴いていただきたいですね。(杉上:二人でこんな真面目に話したこと、なかったんちゃう(笑)?)*1 楽曲の最も短い構成部分*2 ニールセンの交響曲第4番は、全4部から なる単楽章構成で作曲されている。ssabartnoCniloiVihcimasaM araHikaenusT euiguSプレトーク知れば知るほど おもしろい!コンサートに 行きたくなる!メンバーのⒸS.Mitsuta13九響のコンサートマスター原雅道さんとコントラバス奏者杉上恒明さんのお二人に、9月の定期演奏会のプログラムについてお話を聞きました。呼吸で音楽のコミュニケーションがとれるというのはある意味特別で、オーケストラとゲスト指揮者との共演の多くは一期一会なんです。杉上:だから、指揮者のやろうとしていることを一番に汲み取って、それを、視線や体をつかってオーケストラ全体に伝達してくれる。原:オーケストラのことを一番よく知る存在として、両方の窓口でありたいと思っています。僕が一番大切にしていることは、舞台上のなるべく多くの奏者たちが、本当に気持ちよく演奏できるような環境をつくっていければ、ということですね。杉上:余談やけど、誰もいないときに座ってみたことがあるんです、コンマスの席に(笑)。やっぱりあの位置は、オーケストラ全体をよく見渡せる場所やなって、思いましたね。中村滋延交響曲 第5番「聖なる旅立ち」(管弦楽のための)グリーグピアノ協奏曲 イ短調 作品16ニールセン交響曲 第4番「不滅」 作品29コントラバス奏者杉上 恒明指揮:小泉和裕ピアノ:小川典子S席¥5,200 A席¥4,200 B席¥3,100(学生¥1,100)アクロス福岡チケットセンターにて発売中2016.Augustー原さん、コンサートマスターって、 どんなお仕事なんですか?原:小泉音楽監督と九響のように年に何度も共演の機会があって、あうんの九州交響楽団 第352回定期演奏会~次代へ伝えたい 九州の作曲家~月・祝199/15:00開演福岡シンフォニーホール#17コンサートマスター原 雅道聴きに行こう!
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