「ACROS」2016年8月号
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PROFILE1956 卓年也福 (島か県生たまぎれり。音楽 たジくャやー)ナリストとして「音楽の友」「モーストリー・クラシック」誌などに執筆を続けるほか、NHK・FM、JーWAVEなどラジオでもクラシック情報を発信している。たらと思いますね。これすごくいい曲ですよ!プログラム構成で面白いところは? 新しい音楽と古い音楽が混在し、バラエティに富んでいることですね。ヘンデルを古いスタイルで演奏するのか、現代風にアレンジしてやるのかを悩んでいるところですが…。ところで、本当にコーヒー大好きですね。夜眠れなくなってしまうのでは? 大好きです。「コーヒーは体にいい!」という記事だけを信じて飲み続けています。肝臓にも胃にもいいって話もあるんですよ。飲んでも飲まなくても夜中4時ぐらいまで眠れないからいいの(笑) 片桐 普段はあまり意識していないと思うけれど、アクロス福岡の運営方針のひとつに「芸術文化を支える人の育成」という大きな柱がある。その事業のなかでとりわけユニークなのが「アクロス福岡ヴァイオリンセミナー」だ。日本を代表するヴァイオリニスト・景山誠治がヴァイオリンを学ぶ若い世代を継続的に指導するという企画で、アクロス開館の翌年、1996年から行われている。卒業生も多く、すでにプロ奏者として活躍しているヴァイオリニストも出ている。 さらに、2004年にはその景山を中心に、日本の代表的弦楽器奏者である山本友重(ヴァイオリン)、田中雅弘(チェロ)、田秀(コントラバス)などが集まって「アクロス弦楽合奏団」が結成された。そして2007年に第1回の定期演奏会を行った。そのメンバーの中には「アクロス福岡ヴァイオリンセミナー」出身の演奏家も入っている。今年の8月には10回目の定期演奏会が行われる。アクロス福岡シンフォニーホールだけでなく、福岡県内外、韓国でも公演を行ってきたが、今年はそのひとつの節目の年とも言える。 第10回の定期演奏会の曲目は、弦楽合奏団ならではの魅力的なラインナップ。バロック時代から20世紀初頭に至るまでの弦楽合奏の名作を集めているのだ。まず、ドイツ生まれながらイギリス、ロンドンで活躍したヘンデルの「合奏協奏曲集 作品6 第5番」。オペラ作曲家として売れっ子だったヘンデルが、オラトリオや管弦楽に路線変更した時代の作品と言われているが、イタリアで学んだヘンデルらしい軽快さが感じられる作品だ。次いでフランスのバロック時代の作曲家フランソワ・クープランの作品を、20世紀初頭に活躍したフランスのチェロ奏者ポール・バズレールが編曲した「演奏会用小品集」が演奏される。当然ながら、チェロを前面に出した編曲で、往年の名チェリストがよく取り上げていた。フランスらしいおしゃれな雰囲気の曲集である。 そして20世紀イギリスの作曲家グスタフ・ホルストの「セントポール組曲」。セントポールとはホルストが勤めていた女学校の名前で、その学生たちが演奏できるように書いた弦楽のための組曲だ。最後には弦楽合奏で最も有名かもしれないロシアの作曲家チャイコフスキーの「弦楽合奏のためのセレナード」。モーツァルトを敬愛する気持ちから自然に生まれた作品と言われ、さまざまなCMにも使われている有名曲だ。 弦楽合奏の楽しさを教えてくれるプログラムを、8月のシンフォニーホールでぜひアクロス弦楽合奏団と一緒に体験してほしい。夏の定番コンサートはやはりこれ耳より情報景山誠治さんが8/18(木)のフロアコンサート(入場無料)に出演します。ぜひお越しください!(詳細はP5をご覧ください)03Kageyama Seiji東京芸術大学首席卒業。81年ヴィニエアフスキ・コンクール入賞、84年ロン=ティボー国際コンクール最高位入賞。92年ベルリン・コーミッシュオパーオーケストラと共演、ミュンヘン、ライプツィヒでリサイタル。95年中南米諸国でリサイタル、ベネズエラ国立シモンボリバルオーケストラと共演。ソリスト、室内楽奏者として活躍するほか、霧島国際音楽祭講師および企画委員を務めた。現在、桐朋学園大学教授。2016.August公演情報日 時:8月21日[日] 15:00開演会 場:福岡シンフォニーホール料 金:S席3,000円 S席ペア券5,000円    A席2,000円 (学生各席1,000円引き)曲 目:ヘンデル:合奏協奏曲集 作品6 第5番 ニ長調 HWV323    クープラン:演奏会用小品集(編曲:ポール・バズレール)    ホルスト:セントポール組曲    チャイコフスキー:弦楽合奏のためのセレナード ハ長調 op.48景山 誠治(コンサートマスター)10回目のアクロス弦楽合奏団の定期演奏会を聴こう

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