「ACROS」2016年10月号
5/20

片桐 卓也 (かたぎり たくや)PROFILE1956年福島県生まれ。音楽ジャーナリストとして「音楽の友」「モーストリー・クラシック」誌などに執筆を続けるほか、NHK・FM、JーWAVEなどラジオでもクラシック情報を発信している。ニーホールは、音が響く時間が長く、奏者にとって理想的な空間です。福岡のお客さまへメッセージをお願いします。 バンベルク交響楽団とは、20年近く共演を重ねています。初めて共演したときに聴いた、深く味わいのある音色はほんとうに衝撃的でした。その後も発展し続けているオーケストラと、ベートーヴェンの協奏曲を福岡で共演させていただくことを、大変楽しみにいたしております。みなさまぜひお越しください。バンベルクと言われても、ああ、あそこかとピンとくる方はほとんどいないだろう。ドイツの東部に位置し、バイエルン州の一部オーバーフランケン行政管区のなかの一都市である。このオーバーフランケン行政管区のなかにはバイロイト(ワーグナーの楽劇の音楽祭で有名な街)も含まれている。バンベルクは中世から続く古都で、大学の街として有名だった。古都バンベルクにオーケストラが誕生したのは、第2次大戦後のことである。そもそもはチェコ在住のドイツ人が作ったプラハ・ドイツ・フィルハーモニーという組織があり、チェコからドイツに帰ったドイツ人楽団員がバンベルクに集まり、1946年に第1回のコンサートを行った。それがバンベルク交響楽団の始まり。名匠ヨーゼフ・カイルベルトをはじめ、オイゲン・ヨッフム、イシュトヴァーン・ケルテスなど、戦後を代表する指揮者が次々とこのオーケストラで指揮をした。現在はジョナサン・ノット(東京交響楽団の音楽監督としても有名)が首席指揮者となっている。バンベルク市は7万人ほどの人口で、周のオーケストラが活動しているのは、ひとつの奇跡と言って良い。今回の来日公演の楽しみは、そのバンベルク交響楽団と巨匠ヘルベルト・ブロムシュテットの組み合わせ、ということになるだろう。そして諏訪内晶子がソリストとして同行するというのも注目だ。歳ブ。まロさムにシクュラテシッットクは界今の年最で89長老指揮者である。しかし、その音楽は常にみずみずしく、東京での彼の指揮する公演には常に多くの音楽ファンが押し掛けている。スウェーデン出身の両親のもと、アメリカで生まれたブロムシュテットは活動の初期には北欧のオーケストラを指揮し、その後シュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン歌劇場のオーケストラ)の首席指揮者、サンフランシスコ交響楽団の音楽監督として、日本人にも親しまれるようになった。厳格でありながら、温かい。それがブロムシュテットの音楽作り。その魅力が最も発揮されるのはやはりドイツ音楽だと思うが、今回のアクロス福岡公演では、極め付きの名曲であるベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」と「運命」が演奏される。傑作だからこそ、名匠、名手、名オーケストラの共演で聴きたい。それが実現するのが、今回の公演である。さすがに高齢のブロムシュテット。次はいつ?などと考えずに、いまこそ巨匠の至芸に触れよう。 89 歳 の 今 も み ず み ず し い音楽を作り出すブロムシュテットを聴こうAkiko Suwanai 1990年史上最年少でチャイコフスキー国際コンクール優勝。これまでに小澤征爾、マゼール、デュトワ、サヴァリッシュらの指揮で、ボストン響、フィラデルフィア管、パリ管、ベルリン・フィルなど国内外の主要オーケストラと共演。2012年より「国際音楽祭NIPPON」を企画制作し、同音楽祭の芸術監督を務めている。使用楽器は、日本音楽財団より貸与された1714年製作のストラディヴァリウス「ドルフィン」。Ⓒ吉田民人すわないあきこ052016.October公演情報日 時 10月29日[土] 15:00開演会 場 福岡シンフォニーホール料 金 GS席16,000円 S席14,000円 A席12,000円     B席 9,000円 C席 6,000円(学生券3,000円)出 演 指揮/ヘルベルト・ブロムシュテット ヴァイオリン/諏訪内晶子曲 目 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲          交響曲 第5番「運命」諏訪内 晶子(ヴァイオリン)域辺をで合あわるせが、てそも20こで万ド人イほツど屈の指地      福岡・音楽の秋フェスティバル2016

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る