「ACROS」2017年10月号
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アンドレア・ロスト監督に就任することが決まった。まさに「ウィーンの顔」となるジョルダンの姿をいち早くチェックしよう。 駆け足で「音楽の秋」を紹介した。読者の皆さんが、この中のどのコンサートでも良いので、素晴らしい体験をなさることを心から望んでいる。 雄ラ・プティット・バン交響楽団が最後を飾る。ヴァイオリンに樫本大進(ベルリン・フィバロック時代のオペラから繊細なピアニズム、そしてスケール感のあるオーケストラまで、多彩なプログラム のラファウ・ブレハッチのピアノ・リサイタルから始まる。言うまでク・フィルハーモニー管弦楽団。ソリストはピアノのペーター・ヤブロ パールマンは4歳の時に小児麻ま痺にかかり、下半身が不随となった。しかし、それ以前から始めていたヴァイオリンを諦めること無く、レッスンを続けた。10歳で最初のリサイタルを開き、イスラエル交響楽団と共演、そして1959年にはアメリカの有名なテレビ番組「エド・サリヴァン・ショー」に出演して、話題を集めた。この番組を知ったアイザック・スターンが強く薦めて、アメリカに残ることになったと言われている。その後ジュリアード音楽院で学んだ訳だ。1974年に初来日している。 パールマンの使用している楽器は1714年製のストラディヴァリウス。その美音は、本当にうっとりするほど。ヴァイオリンの音の美しさだけを競うコンクールがあったら、その第1位は当然パールマンに与えられるだろう。このストラディヴァリウスの音を聴くだけでも価値があるコンサートだ。ベートーヴェンの「クロイツェル」やドビュッシーのソナタなど多彩な曲目が並ぶが、どんな作品であれ、名手パールマンの腕にかかると、一瞬で黄金に変わると言っても良いので、ご心配なく。ピアノは五嶋みどりなど数多くのアーティストと共演しているロハン・デ・シルヴァ(スリランカ生まれ)なので、安心して聴ける。パールマンとの共演歴も長い。コンサートは10月31日だ。 2017年の「福岡・音楽の秋フェスティバル」は、まず10月3日もなく、ブレハッチ(1985年生まれ)は2005年、第15回のショパン国際コンクールの優勝者であり、その後も世界的な活躍を続けている。バッハ、ベートーヴェン、ショパンというプログラミングはブレハッチらしいもので、古典を大切にする彼の気持ちが表れていると思う。 続いてはクリスチャン・リンドバーグ指揮のノルウェー・アークティッンスキーが同行する。「アークティック」とは「北極圏の」という意味で、2009年に結成された新しいオーケストラである。指揮者のリンドバーグはスウェーデン生まれでトロンボーン奏者、作曲家としても活躍してきた。ノルウェーの作曲家グリーグのピアノ協奏曲をヤブロンスキーが演奏し、メインはチャイコフスキーの交響曲第4番。新しいオーケストラの実力を早く知りたいところである。公演 ひは10月16日。 10月21日には古楽のドによるハイドンの歌劇「ラ・カンテリーナ(歌姫)」を中心とするプログラム。ハイドンは実はたくさんのオペラを書いているのだが、ほとんど演奏されないのを残念に思ってきた。なので、このコンサートはとても楽しみである。全2幕で、4人の歌手によって歌われる小規模の作品だが、とても魅力的な音楽が詰まっている。 10月31日に先に紹介したパールマンのコンサートがあり、11月15日にはハンガリー国立歌劇場によるドニゼッティ「ランメルモールのルチア」の公演がある。ルチアを名歌手アンドレア・ロストが歌うが、このベルカント・オペラの最高傑作、特に「狂乱の場」をどう彼女が歌うのか、楽しみだ。 そして11月27日には俊英フィリップ・ジョルダン率いるウィーンルのコンサートマスター)を起用し、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲とマーラーの交響曲第1番というプログラム。速報だが、フィリップ・ジョルダンが2020年からウィーン国立歌劇場の音楽2017.October樫本大進©Daisuke Akita03福岡・音楽の秋フェスティバル2017Fukuoka Music Festival in Autumn 2017アクロス福岡に世界的なアーティストを迎え錦秋の季節が訪れる

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