窯を築いたのが始まり


1682(天和2)に筑前福岡藩・3代目藩主黒田光之が磁器の生産が盛んであった伊万里から陶工を招き、焼物を作り始めたことが起源とされる小石原焼。開窯当初、磁器が作られていた時期もありましたが、1669年(寛文9)年から同地で茶陶を手がけていた髙取焼との交流により、陶器が作られるようになりました。

安心する素朴な風合い
素朴であたたかな質感は小石原地区から採取される赤土から生まれます。

シンプルで普遍的なデザイン
規則正しく整然と施された模様はシンプル故にいつの時代も変わらず愛されてきました。

くらしにあわせた多様性
くらしのスタイルと共に柔軟に変化してきた小石原焼は種類も豊富です。



小石原ができるまで

1. 陶土づくり

小石原の赤土はそのままだとボロボロと崩れてしまうため、丁寧に土づくりを行います。原土をよく乾燥させ、機械で細かく粉砕します。その後、ふるいにかけたり水中でかき混ぜたりしながら、粒子の細かい「陶土」とします。



2. 土練り

土を練っていき、粘りと硬さを見たり、空気を抜いたりします。50回以上もこねていくうちに、土が菊の花弁のような模様になっていくため、「菊ねり」とも呼ばれます。鉢や甕などの荒物は底が歪むので硬い土、小物は歪まないので柔らかい土など、作る物に合わせて土の状態も調整します。



3. 成形

陶土の塊を30〜40cmの円筒形にして、ろくろを使って成形していきます。甕など大きな物を作る際には、細く伸ばした陶土を練りつけて高くしていきます。



4. 装飾付け

半乾燥した粘土に化粧土を掛け、飛び鉋、刷毛目、櫛目、指描きなどの技法を用いて、約けめくしめとかんなは350年続く伝統的な模様を描いていきます。ろくろの回転速度や生地の乾燥具合などによって出来上がりの表情が変わります。



5. 乾燥・素焼き

天日干しで十分に乾燥させ、約 900〜1050度で10時間程、窯で素焼きを行います。本焼きでの割れ・欠けが減り、焼き色も安定します。伝統的な技法ではありませんが、その効果から近年取り入れるようになりました。



6. 釉薬掛け

産地の自然と職人の技術が融合する重要な工程です。釉薬の原料は主に小石原で採れる藁灰、木灰、長石などです。その配合や器への掛け方により色や質感、デザインが大きく変化します。職人の個性が発揮されます。



7. 焼成

登り窯(燃料が薪)や電気釜を使って焼成します。登り窯の場合、火を入れ、およそ半日(13〜14時間程度)で1000度に達し、火入れからおおよそ30時間程焼いていきます。焼き上がったら数日かけて窯を冷やし、窯から取り出します。