八女福島仏壇の誕生には面白い逸話があります。釘などを使わずに木工品を作る指物の大工であった遠渡三作が 1821(文政4)年に荘厳華麗な仏閣の夢を見たことをきっかけに、仲間の職人たちと仏壇を作り始めました。後に各工程を分業するようになり、今日の伝統的工芸品指定に繋がっていきます。


◯カタチよりキモチ
仏壇の形はライフスタイルに合わせてさまざまあります、大事なのは仏壇と向き合う気持ちです

無心になれる「空間」
仏壇は寺院の一部を小さくしてその祈りの空間をくらしに取り入れた経緯があります。
手を合わせるとなぜか心が落ち着き少しスッキリしたような気持ちになります。

職人の総合芸術
仏壇はどんな形であっても一人では作れません。職人の技術が結集して完成します。


八女福島仏壇ができるまで

1. 木地(きじ)造り

厳選されたスギ、ヒノキ、ヒバ、ベニマツ、ホオノキなどの木材で仏壇の本体を作ります。漆など仕上げの厚みや、各部の取り外しなどを釘なしでもできるようなほぞ組み構造とするため、あらかじめ塗りしろの余白を計算して大きさを考えます。



2. 宮殿(くうでん)造り

数多くの部位の中でも、宮殿は最も仏壇らしい美しい形をしています。まるでお寺の屋根そのもののよう。ノミ、鉋で作られる部品を竹串を刺して組み上げます。
技術はもちろん、道具の刃
研ぎだけでも10年以上もの鍛錬が必要です。



3. 彫刻

職人の技術と創造性が問われる工程。簡単な下絵を板に描き、あとは頭の中に描く、完成した立体に向かって手を進めるのみ。刃を入れるときには8割は完成していると言っても過言ではありません。



4. 金具造り

打ち込まれた模様は仏壇全体の印象も左右します。花や文様、唐草の巻き目などを、驚くほどに美しくまとめていきます。道具の選定はもちろんですが、木地に対してどのような形の金具をつけるか、そこから職人のデザインは始まります。



5. 塗り

仏壇の塗装は下地と漆塗りの2段階に分けられます。下地を丁寧に仕上げ、木地が環境の変化の影響を受けにくくし、何度も漆を重ねていきます。



6. 金箔押

伝統仏壇のイメージでもある「金」を施す工程です。漆が接着剤となり金箔がしっかりと貼り付きます。薄さ約 0.0001ミリの金箔を職人は手早く押さえていきます。



7. 蒔絵(まきえ)

仏壇に美しい図柄を描いていきます。下絵はほぼなく、大枠のガイドライン程度。筆を使い分けながら八女福島仏壇では花鳥、山水、人物などを主に描きます。漆で描き、乾かないうちに、金・銀粉を蒔き、青貝などを貼り付けます。



8. 組立

職人が数々の工程を経て作る部品を組み立てていきます。八女福島仏壇は組み立てた後も取り外しができる構造なので永く、代々受け継いでいくことができます。