1600(慶長5)年頃、筑前福岡藩初代藩主・黒田長政が集めた職人によって作られた素焼き人形が博多人形のルーツと言われています。明治時代になり、パリなど国際的な博覧会で高い評価を受け、日本を代表する人形として「博多人形」の名で知られるようになり、海外へも輸出されるようになりました。
◯しっとりとしたぬくもりを感じる質感
博多人形特有の技法により固いのにしっとりしている、ぬくもりを感じる質感が生まれます。
◯くらしに文化を彩る
季節行事や伝統芸能・美人ものなど、くらしの中に日本文化が彩られます。
◯物を超える写実的な表現
着物の柔らかさや繊細な模様など、繊細な職人の手作業だからこそ写実的な表現が生まれます。
博多人形ができるまで
1. 構想
人形師は全ての工程を1人で担います。自分の得意分野や、お客さまからのオーダー、新しいデザインへの挑戦など、日々、どのような人形を創ろうか考えています。
2. 土練り
原土を乾燥、粉砕、不純物を取り除くなどしたあと、水分を加えながら練り上げていき、人形を成形するために適した状態にします。
3. 成形
粘土をろくろに乗せ、手で形を整え、人形の原型をつくります。
4. 原型/型取り
粘土で頭、胴、手足などを彫っていき、博多人形としての形を整え、へらで模様を入れていきます。量産する場合はこの原型を石膏で型どりします。
5. 生地づくり
型の隅々までしっかり粘土を指で押し詰め、原型と同じ大きさ、形、模様を持った人形生地を作っていきます。
6. 焼成
型から取り出した生地は、自然乾燥させます。乾燥後、ガス窯や電気釜で8時間ほどかけて800〜1,000度の温度で焼き上げます。
7. 彩色
焼成した生地に胡粉(ごふん)などで肌の色を整え、顔料などでさまざまな色や模様を描きます。
8. 面相
面相筆を用いて「口紅入れ」「目入れ」「まゆ毛描き」など、博多人形の生命ともいえる表情をつくり上げていきます。