1813(文化13)年頃に八女郡福島町で荒巻文右衛門(あらまきぶんえもん)によって作られた「場提灯」が始まりとされています。その後は八女手漉き和紙を使い内部を透かし、花鳥や山水などを描いた涼み提灯として名声を博しました。大正時代以降は優雅で気品溢れる八女提灯独特の盆提灯が主流となっています。
◯安らぎを感じる
和紙や絹を通した温かな光はどこか哀愁や情緒漂う安らぎを感じます。
◯個性を灯す
八女提灯の火袋には故人の好きだった花や風景を描その人だけの提灯を作ります。
◯自然の恵み
八女市内に流れる清流・矢部川、きれいな水は和紙文化や提灯文化へつながりました。
八女提灯ができるまで
1. はじまりは八女
八女市内を流れる一級河川・矢部川。昔から清涼な水に恵まれていることで、提灯の原料である和紙を作る文化が生まれました。また、他にも堤灯作りの材料となる木蝋(もくろう)、骨となる竹、木材や漆といった材料が揃うことで、八女の自然を生かした伝統的工芸が生まれました。
2. 型組み
木型を組み立て、提灯の原型を作ります。8〜16枚の羽を組立て、上下にコマを取り付けて固定します。羽にはヒゴを巻きつける溝がついています。
3. ヒゴ巻き
八女提灯は、つなぎ合わせた1本のヒゴをらせん状に巻きつけていく「一条螺旋式(いちじょうらせんしき)」が特徴です。元々竹でしたが、現代ではワイヤーが使われることも多くなっています。
4. 和紙・絹張り
和紙や絹は、羽と羽の間を一間として張っていきます。羽に糊を付け、一間とばしで張っていき、糊が乾くと隣の部分を張ります。火袋の中に灯りが灯ると、張り方がしっかり見えてくるので、つなぎ目などは特に丁寧に仕上げます。
5. ドウサ引き
火袋の表面に「ドウサ」と呼ばれるにかわやゼラチン、ミョウバンなどを溶かした液を塗っていきます。絵付けの際の滲みを防ぎ、表面を艶やかに仕上げるための加工です。
6. 型抜き
火袋が乾燥したら、中で羽を分解し、口の部分から取り出します。
7. 絵付け
早描きと呼ばれる技法で、職人が10個程の提灯に同じ絵柄を描いていきます。日本らしい趣のある絵柄が多いですが、盆提灯として故人が好きだったものなども描かれます。