1602(慶長7)年に、豊前小倉藩初代藩主細川忠興が、李朝陶工尊楷(そんかい)を招き、上野の地に、窯を築きました。江戸時代になると遠州七窯(えんしゅうなながま※)の一つとして選ばれるほどに、茶器としての知名度が高く完成度の高い作品が多くありました。明治時代に入ると、廃藩置県によって窯を守ってきた藩が無くなったことで、窯が閉鎖され、一時期途絶えてしまいましたが、1902(明治35)年に田川郡の補助を受け復活し、現在に至ります。
※遠州七窯とは、徳川家茶道指南役の大茶人小堀遠州が茶器を作るために選定した、全国7か所の窯元のこと


多種多様で豊かな表情
自然素材と職人の技法から生まれる色彩・模様・質感は人々を魅了します。

茶陶由来の美しい形
茶陶の面影を感じる末広がりの高台は上野焼特有の美しい形状を演出します。

静かな存在感
美しい形や質感が際立つ薄作りによって研ぎ澄まされた存在感を放ちます



上野焼ができるまで

1. 陶土づくり(粉砕・土こし)

原土をよく乾燥させ、機械で細かく粉砕します。その後、ふるいにかけたり水中でかき混ぜたりしながら、粒子の細かい土だけを選別します。その後、天日干しをします。



2. 陶土づくり(土練り・手練り)

固まった粘土を機械と職人の手、2段階で練って筒型に形づくります。手練りする際には時間をかけて陶土から空気を抜きます。


3. 成形

粘土をろくろに設置して成形していきます。茶陶特有の高台を削る際に自然と生じる、左巴(ひだりどもえ)と呼ばれる渦模様は、現在では上野焼の陶印として定着しました。



4. 半乾燥

成形した粘土を屋内に設置した棚に並べ、半乾きの状態まで乾燥させます



5. 削り/乾燥

半乾き状態の粘土を、裏を削ったり、持ち手を付けて仕上げます。その後2〜3週間かけて完全に乾燥させます。



6. 素焼き

上野焼の特徴である薄作りは軽く、形状も美しくなる反面、焼成の際に割れてしまうこともあるため素焼きを行うことで強度を高めます。



7. 釉掛(ゆうか)け

素焼きを経た焼物は釉薬(ゆうやく)を掛ける工程へと進みます。釉薬をかけることで上野焼特有の多彩な表情が表れます。



8. 焼成(しょうせい)

約30時間にわたり、窯内の温度などを見守りながら焼き上がりを待ちます。気を抜くと全てが無駄になってしまう最も重要な作業です。職人の疲労もピークを迎えます。