モーツァルト生涯最後のオペラ「魔笛」。世界中で愛され続けてきたこのオペラを、最高傑作と推す方も多いことでしょう。荒唐無稽ながら神秘性溢れた冒険物語。ソプラノの超絶技巧を要する屈指の人気曲「夜の女王のアリア」や、「なんと美しい絵姿」などのドラマティックな名曲。そして「鳥刺し男」パパゲーノなど個性溢れる登場人物たち。そのストーリーは今なお多くの人々を惹きつけてやみません。今回、オーストリア=ハンガリー帝国時代からの二大王立歌劇場として、ウィーン国立歌劇場と並び称される名門「ハンガリー国立歌劇場」が5年ぶりに来日。「魔笛」を披露いたします。
ハンガリー国立歌劇場の「魔笛」は、オーストリア=ハンガリー帝国時代の文化的土壌を色濃く反映した伝統と、現代のフレッシュな感覚を加味した演出が特色。おとぎ話や神秘的な旅、喜劇といった異なる要素が凝縮されたオペラを、笑いを抑えた作品に仕上げ、古典的な脚本に現代的な照明演出を取り入れるなど、幻想的で美しい世界観を表現します。モーツァルトの音楽がより効果的に響く舞台となるでしょう。
壮大なステージと、名門歌劇場が誇る名歌手たちの饗宴。モーツァルトの音楽を全身に浴びて、「魔笛」の世界に入り込みませんか。
NDR・北ドイツ放送がハノーファーに設立したオーケストラが福岡に登場。北ドイツ放送により年間約100公演が放送され、世界中の名指揮者・一流ソリストが客演を続けている欧州のハイクオリティなオーケストラとして名を馳せます。今回、ソリストにはブラームス国際コンクール第1位の中村太地(北九州市出身)を起用。地元福岡での演奏に注目です。
指揮者のアンドリュー・マンゼはミュンヘン・フィルやコンセルトヘボウ管弦楽団、ロンドン・フィル、ボストン響など世界の名門オケに客演している実力派の名匠。2014年にNDR北ドイツ放送フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者に就任して以来、積極的な録音活動をして話題に。その躍動感にあふれ、突き抜けるような明るさと透き通るような弦楽器の響きは、瞬く間に世界中で注目を集め、2017年にはドイツ・レコード批評家賞も受賞しました。今回、披露するベートーヴェンとブラームスはオーケストラ得意の選曲。特にベートーヴェン交響曲第7番は2019年に録音もリリースされています。
欧州で注目を集めるマンゼ&NDRに、日本が誇るヴァイオリニスト中村太地が協演。共に勢いに乗る者たちの熱き演奏にご期待ください。
近年の海外ツアーでも世界的好評を博し、まさに日本のトップオーケストラと言えるNHK交響楽団が、今秋の定期演奏会で取り挙げている注目のプログラムで、福岡シンフォニーホールに登場します。
指揮のレナード・スラットキンとN響とは1984年の初共演以来、長きにわたってコンスタントに協演を重ねています。日本ではイギリスの作曲家と聞いて、行進曲「威風堂々」や「愛の挨拶」を作曲したエルガーや、組曲「惑星」の作曲者ホルストが挙がりますが、そのホルストと親しい仲にあり、欧米ではメジャーな作曲家として知られているのが、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズです。『「富める人とラザロ」の5つのヴァリエント』は、イングランド民謡を取り入れた牧歌的な美しい曲で、続くメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲へと流麗に繋るプログラミングの美しさにも、ぜひ耳を澄ませてみてください。クラシカルなキャリアを持つ上に自らのスタイルを全世界へ発信し魅了してやまないレイ・チェンによる、ヴァイオリンの調べを心ゆくまでご堪能ください。そしてメインプログラムは、作曲、初演された時代背景としては第2次世界大戦の戦時下でありながら、平安への祈りが貫かれたヴォーン・ウィリアムズの交響曲第5番。第3楽章のロマンツァなど、心に沁みわたるような旋律美に包み込まれます。生涯に9つの交響曲を残し、民謡のエッセンスに富んだ抒情的な音楽で、聴く側の感性も研ぎ澄まされるようなひと時となることでしょう。彼の作品が日本での演奏機会が少ないだけに、一流のオーケストラで紡ぐこの機会をお聴き逃しなく。