世界最高峰のオーケストラが、アクロス福岡に21年ぶりの登場です。初来日は1957年。これまでに22回の日本ツアーを実施しており、カラヤンから小澤征爾、ヤンソンス、ラトルなど、時代の錚々たるマエストロが来日公演を奏でてきました(福岡での前回公演はクラウディオ・アバド指揮によるブルックナー交響曲第5番)。そして今回、タクトを振るのはズービン・メータ。福岡にもウィーン・フィルやイスラエル・フィルとの名演を数多く残してきた巨匠です。
演奏する曲はブルックナーの交響曲 第8番。この重厚長大な曲は80分を超す大作で、宇宙をも感じさせるスケールのとても大きな交響曲。“これぞブルックナー”とでもいうべき迫力で、人によってはブルックナーの最高傑作と呼んでいます。4楽章形式のこの交響曲は何度か改訂されていますが、現在最も多く演奏されている「ノヴァーク版 第2稿(1890)」にて本公演は演奏いたします。
コンクール優勝者など一流の奏者たちが集まり、世界最高の演奏能力を持つオーケストラ。その重厚かつ豊潤な音色は、ひとりひとりが畳み掛けるような音の厚みと、巨大な推進力をもって昇華されます。また、ドイツらしい重厚さばかりではなく、表現力豊かに、その時代のトレンドを常に追求することも忘れません。唯一無二のオーケストラを聴く機会をどうぞお見逃しなく。
ロシアが最も古い音楽団体として世界に誇るマリインスキー歌劇場と30年以上歩みをともにし、昨今の発展にもっとも影響をもたらした芸術監督兼総裁ワレリー・ゲルギエフ。アクロス福岡では、昨秋のミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団での登場も記憶に新しく、この世界的スターがお馴染みと言えるのは嬉しいことですが、マリインスキー歌劇場管弦楽団との公演は開館20周年を迎えた2014年から5年ぶりとなり、待ちわびたオール・ロシア・プログラムに胸が高なります。アクロス福岡四半世紀の節目にまた次なる飛躍を感じさせてくれるに違いないでしょう。
今回福岡の地ではヴァイオリンに五嶋龍を迎え、挙がったのは王道すぎる名曲。「これぞコンチェルトの真骨頂」という快演をしっかり胸に刻んでいただきたい絶好の機会です。
指揮者としてはもちろんのこと、留まることを知らないリーダーシップで劇場のマネジメントから各地音楽祭のディレクションまで、幅広い領域から芸術の水準を押し上げるマエストロとその手兵マリインスキー管の両者が放つ演奏に興奮必至です。