ラファウ・ブレハッチは、ポーランド出身の2005年ショパン国際ピアノコンクール優勝者。ショパンを生んだポーランドが誇るピアニストです。おなじくポーランドが生んだカリスマ・ピアニスト“クリスチャン・ツィメルマン”らによる薫陶も受け、世界的な活躍を続けています。
過去のリサイタルでは、オール・ショパン・プログラムにより特別な存在感を放ったブレハッチ。前回2017年10月の福岡公演ではJ.S.バッハやベートーヴェンも披露し、その豊かな芸術性を知らしめました。今回のリサイタルでも、モーツァルトやベートーヴェンの傑作ソナタを選択するなど、ピアニストとしての充実ぶりを感じさせます。そして得意のショパンからはマズルカとポロネーズを披露。どちらもポーランドの民族舞踊のための曲ですが、ポーランド人にとっては特別な曲。ショパンの祖国を想う気持ちと、ブレハッチの音楽性がどのようにシンクロするのかに期待が高まります。
幼き頃は教会に通いオルガニストになりたかったと言うブレハッチ。今は世界的ピアニストとして充実の時を迎えています。古典派からショパンへと続く音楽をどのように魅せてくれるのか。軽やかでありながらも、優美で芯のあるタッチは聴く者の心を掴んで離すことはないでしょう。この秋、福岡シンフォニーホールでそのピアニズムを心ゆくまで味わってみてください。
唐僧玄奘三蔵法師が天竺へ向かうシルクロードを舞台にした、スペクタクルな「能」。
この演目は当時の「風流能」と呼ばれるもので、出典は不明ですが永享年間(1400年代)「玄奘三蔵絵(絵巻物)」が流布していることから、この頃の制作と考えられています。昭和58年(1983年)に復曲初演されるまで約550年間消失していました。このような演目を『復曲能』とも言います。
今回は『真言宗声明』と融合した新たな能楽の世界をお楽しみください。
<あらすじ>
三蔵法師が大般若経を伝来しようとシルクロードから天竺(インド)へ向かう途中、西域の流砂河(りゅうさがわ)に差し掛かる。そこで怪しい男に出会い、男は語り始める。
この河は千尋の難所であり、その向こう岸にそびえる葱嶺も険しく、まず超えることは困難である。
さらに、この河の主は深沙(しんさ)大王であり、志を試すため、これまで7回命を奪っていたが、今度こそ経典を与えようと言って姿を消す。
すると、三蔵の前に菩薩が現れて舞楽を奏し、大龍、小龍が三蔵を拝する中に大般若経の笈(おい)を背負った深沙大王が現れる。
笈を開いて三蔵とともに経文を読み上げ、この経の守護神になろうと約束すると笈を与える。
三蔵は喜び笈を背負って流砂に向かうと河は二つに割れ、三蔵は易々と渡り、深沙大王は見送る。