ボーカル・レジェンド
ボーカル・レジェンド
〜アクロス福岡がセレクトする声の芸術〜
今秋 3人のボーカリストが魅せる声の芸術!
今年の秋、アクロス福岡にジュゼッペ・サッバティーニ、ホセ・カレーラス、フランコ・ファジョーリという三人の歌手が登場する。
最初に登場するのは、ジュゼッペ・サッバティーニ。彼は聖歌隊の児童合唱時代から歌唱力が認められていたが、サンタ・チェチリア音楽院ではコントラバスを学び、卒業後はオーケストラで演奏していた。彼の夢は指揮者になることだったが、ヴェローナのアレーナでオペラの演奏をするうちに歌手を目指すようになり、本格的に声楽の勉強を始めた。いくつかのコンクールで優勝した後、ミラノ・スカラ座にデビューするとたちまち名声を得、ウィーン国立歌劇場やメトロポリタン歌劇場など世界有数の歌劇場で活躍した。50歳を機に長年の夢を実現して指揮者に転向したが、歌に対する情熱は冷めず、10年ぶりに歌手活動を再開した。
ホセ・カレーラスは言わずと知れた三大テノールの一人でパヴァロッティ、ドミンゴとともに一世を風靡した。若くしてデビューした彼は1973年にNHK招聘のイタリア歌劇団公演で「椿姫」のアルフレードを歌い、その甘い歌声で観客を魅了した。45年前のことだが、以来日本でもカレーラスの熱狂的なファンは多く、オペラ界の貴公子として活躍した。白血病でオペラから一時遠ざかったが全快して復帰。コンサートを中心に積極的な活動を続けている。
そして、最後を飾るのはカウンターテナーのフランコ・ファジョーリだ。カウンターテナーと言えば、ファリネッリやカッファレッリなど1700年代に活躍したカストラート歌手を思い浮かべる方が多いのではないだろうか。17世紀の終わりに、ローマ法王により女性が舞台に立つことが禁止されたために活躍した歌手たちのことである。美しい声のボーイソプラノが変声期を迎えないようにする手術が行われ、特別な訓練を受けた歌手がナポリを中心に3000人もいたと言われている。発声や技巧ばかりでなく、チェンバロ、作曲、和声学、対位法、文学、演技など厳しいレッスンを受けた少年たちは超絶技巧を駆使したカデンツァを即興演奏したり超高音を響かせたりして観客を狂喜させ、カストラートはオペラ史の一時代を飾った。しかし、18世紀の半ばには手術が禁止され、女性が舞台に復帰したため、徐々に消えていった。ファジョーリは今日数少ないカウンターテナーの一人として、バロック音楽の演奏には欠かせない存在となっている。
サッバティーニ、カレーラス、ファジョーリは声の美しさとテクニックばかりでなく、歌の表現の素晴らしさに定評がある歌手たちである。観客の皆さんに感動をもたらすこと間違いない。
田口 道子(オペラ演出家)

※"「ボーカル・レジェンド」シリーズ 今秋開催!"
ページへ移動します。

VOCALLEGENDチラシ

公演ラインナップ

2018年10月2日(火) 19:00開演VOCAL LEGEND

ジュゼッペ・サッバティーニ リサイタルVOCAL LEGEND

【右】ジュゼッペ・サッバティーニ<br>【左】マルコ・ボエーミ 【右】ジュゼッペ・サッバティーニ
【左】マルコ・ボエーミ

イタリアの大器、サッバティーニのカムバックコンサート

会 場
福岡シンフォニーホール
出 演
ピアノ/マルコ・ボエーミ
曲 目
リスト:ペトラルカの3つのソネット
ファリャ:7つのスペイン民謡
トスティ:プルチネッラは死んだ
プッチーニ:太陽と愛
ザンドナーイ:神秘 ほか
入場料
【一 般】S席7,000円 A席5,000円(学生券2,500円)
【友の会】S席6,300円 A席4,500円(学生券2,200円)
聴きどころ

声楽界に彗星のごとく現れ、またたく間に世界の歌劇場のステージに立ち、こまやかな音楽づくりに、生まれ持ったなめらかで艶のある声をのせて聴衆を魅了してきたジュゼッペ・サッバティーニ。2003年には、ウィーン国立歌劇場から宮廷歌手の称号を与えられるなど、その類まれな逸材ぶりはとどまることを知らず、2007年、かねてから宣言していたとおり指揮者になる夢を果たします。以後、洗練された音楽の解釈で、表現の手段を選ぶことなく、それは後進への熱心な指導にも反映されています。
声楽家として活躍する以前は、歌劇場の首席コントラバス奏者という稀有な経歴の持ち主。歌い手としてステージに帰ってくる今回は、音楽のみならず人生を一緒に歩んできた30年来の親友で、同じく指揮者としてもキャリアの長いマルコ・ボエーミと共演します。積み重ねられたものが今の彼の声となって、福岡シンフォニーホールに響きます。

2018年11月4日(日) 15:00開演VOCAL LEGEND

CREDIT SAISON PRESENTS
Intima いとしいひと
ホセ・カレーラス テノール・リサイタルVOCAL LEGEND

ホセ・カレーラス ホセ・カレーラス

21年ぶりにアクロス福岡へ登場!
人生で一度は会いたいレジェンド、ホセ・カレーラス

会 場
福岡シンフォニーホール
出 演
ピアノ/ロレンツォ・バヴァーイ
曲 目
ナーチョ:いとしいひと
トスティ:かわいい口元
ファルヴォ:彼女に告げて
レンディーネ:望郷 ほか
入場料
【一 般】GS席30,000円 S席26,000円 A席21,000円 B席16,000円
C席10,000円(学生券5,000円)
【友の会】GS席27,000円 S席23,400円 A席18,900円 B席14,400円
C席9,000円(学生券4,500円)
聴きどころ

アクロス福岡開館3周年の特別公演以来21年の歳月を経て、スペインが生んだレジェンドで三大テノールのひとり、ホセ・カレーラスが生の歌声を聴かせてくれます。前回と同じくイタリア出身のピアニスト、ロレンツォ・バヴァーイとのリサイタル。
タイトル「Intima(インティマ)」は、intimacy(親密さ、愛情)の意味からカレーラス自身が選び、“愛する人に向けた歌”の数々を溢れんばかりの深い愛情で歌い上げます。今回のプログラムにある南米の作曲家ナーチョの「いとしいひと」は、21年前の公演でも歌われた曲ですが、ほかの曲目もカレーラスがそのキャリアで長く歌い続けてきた、一通りでない想いのこもったものばかりという至極のプログラムに、演奏を聴く前から酔いしれます。
キャリアの絶頂期に白血病を発症し、奇跡的な復活を果たしたカレーラス。病を克服後、自らが財団を設立し、白血病が「完治する病」になることを目標に30年におよび精力を注いでいます。復活後、さらに輝きを増して年齢を重ねる彼の姿は、演奏を通して多くの人々に感動を与え続けています。今秋いよいよ福岡の地でレジェンドに出会えます。

2018年11月20日(火) 19:00開演VOCAL LEGEND

フランコ・ファジョーリ&ヴェニス・バロック・オーケストラVOCAL LEGEND

フランコ・ファジョーリ フランコ・ファジョーリ
ヴェニス・バロック・オーケストラ ヴェニス・バロック・オーケストラ

女声か男声か、3オクターヴの声域。
性別を超えた驚愕のカウンターテナーの新星が、ヘンデルのバロック・オペラを魅せる!

会 場
福岡シンフォニーホール
曲 目
G.F.ヘンデル「オペラ・アリア名曲集」
★カウンターテナー: フランコ・ファジョーリ

ヴィヴァルディ:シンフォニア ト長調 RV 146
ヘンデル:歌劇「オレステ」より オレステのアリア
「激しい嵐に揺さぶられても」 ★
歌劇「イメネーオ」より ティリントのアリア
「もしも私のため息が」 ★
ヴィヴァルディ:シンフォニア ト短調 RV 156
ヘンデル:歌劇「リナルド」より リナルドのアリア
「愛しい妻、愛しい人よ」 ★
歌劇「リナルド」より リナルドのアリア
「風よ、暴風よ、貸したまえ」 ★
歌劇「アルチーナ」より ルッジェーロのアリア
「愛する人の姿が」 ★
歌劇「忠実な羊飼い」より ミルティッロのアリア
「私は胸にきらめくのを感じる」 ★
ヴィヴァルディ:歌劇「ジュスティーノ」より
シンフォニア ハ長調 RV 717
ヘンデル:歌劇「アリオダンテ」より アリオダンテのアリア
「嘲るがいい、不実な女よ、情人に身を委ねて」 ★
ジェミニアーニ:コンチェルト・グロッソ ニ短調
(コレッリのヴァイオリン・ソナタ
「ラ・フォリア」Op5-12による)
ヘンデル:歌劇「セルセ」より セルセのアリア
「恐ろしい地獄の 残酷な復讐の女神が」 ★
入場料
【一 般】S席8,000円 A席6,000円(学生券3,000円)
【友の会】S席7,200円 A席5,400円(学生券2,700円)
聴きどころ

現代で最高とも言われる超絶技巧を武器に、世界中の歌劇場で活躍する新星が初来日公演。得意のバロック・オペラの中から、ヘンデルのオペラ・アリアの名曲を披露いたします。共演は、ザルツブルク音楽祭などでも活躍する世界屈指の古楽器オーケストラ「ヴェニス・バロック・オーケストラ」で、自慢のヴェネツィアンサウンドを奏でます。
バロック・オペラの特徴は歌手の声。当時はカストラート(声変わりしないように去勢された男性歌手)が、高音を披露していたので、現代でもバロック・オペラを演じるときには男性が高音を歌うカウンターテナーに大きな注目が集まります。今回、ヘンデルのオペラからは「リナルド」や「アリオダンテ」からの名アリアを選曲。フランコ・ファジョーリが自身で選んだヘンデル選りすぐりのアリアです。メゾ・ソプラノにも匹敵するカウンターテナー歌手ファジョーリが、バロックのスペシャリストの演奏と共に、超絶技巧と迫真の感情表現をもって歌い上げます。
クリームのようにまろやかで密度の濃い声。女声か男声か、3オクターブの声域による性別を超えた驚愕のカウンターテナー。際立つ声の魅力に圧倒されることは、間違いありません!

TOPに戻る