世界で最も上演回数が多いオペラといっても過言ではないオペラ「カルメン」。今回アクロス福岡には3年ぶりの登場、輝かしい伝統を誇るブルガリア国立歌劇場の指揮をとるのは、本国“声の国”ブルガリアでの初演を大成功に導いた原田慶太楼。
黒子のような衣装に能面を被ったコーラス、飾り気のない舞台と対照的に、華やかな衣装に身を包んだバレエ・ダンサーが絢爛に踊る、この新演出版は日本公演を意識して、劇場総裁のプラーメン・カルターロフが演出し、「総合芸術」といわれるオペラとしての最新版とも言えるでしょう。
耳になじむ名曲の数々に、指揮者の原田が自ら書き下ろしたフランス語の台詞が重なり、現地公演の熱気をそのままに伝えます。
2時間45分に凝縮された愛憎劇、登場人物のリアルな心情が浮き彫りとなる斬新な演出でお楽しみください。
ドイツが世界に誇るオーケストラの最高峰「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」。このヴァイオリン・セクションからのメンバーを中心に、10人のヴァイオリニストとピアノで構成されたユニークなアンサンブルがアクロス福岡へ登場いたします。ベルリン・フィル第1ヴァイオリン奏者のラウレンティウス・ディンカなど、メンバー全員が世界に名だたる名手“ヴィルトゥオーソ”です。
ヨーロッパはもちろん、南米やアジアなど世界的な活動を続けており、聴衆を楽しませることにも長けています。よく知られた名曲からバロックまで、豊富なレパートリーから厳選された曲で聴衆に驚きと感動を与えることでしょう。パッヘルベルの「カノン」やアルビノーニ「アダージョ」など、彼らの最も得意とするストリングスの繊細な響きに酔いしれるのもよし。また、プッチーニの「オペラ組曲」やチャイコフスキーの「くるみ割り人形組曲」では、エンターテイナーとしての魅力を存分に発揮。ヴァイオリンを聴く喜びいっぱいの演奏となることでしょう。
繊細な美しいサウンド、オーケストラのような厚みのある響き。これぞ世界に名を馳せるベルリン・フィルハーモニー、ヴァイオリン・セクションの音です。どうぞご期待ください。
クラウディオ・モンテヴェルディ作曲「オルフェオ」。マントヴァの宮廷で1607年に初演されたこの作品はモンテヴェルディのオペラ第一作であるばかりでなく、音楽史上最も初期のオペラとして知られています。しかしながらその完成度は非常に高く、古今のオペラの名作の一つに数えられています。
幸せの絶頂、婚礼の直後に最愛の花嫁、エウリディーチェは蛇に咬まれて死んでしまい、悲嘆にくれたオルフェオは黄泉の国へ降りてエウリディーチェを取り戻そうと決意します。古事記に出てくるイザナミとイザナギのお話にそっくりなこともあって、私たち日本人にも共感できる点が多々あります。
このオペラでモンテヴェルディは色々と当時としては新しい試みをしており、それは現代の私たちにも非常に新鮮に聴こえます。楽器編成を細かく指定したのもその一つ。ヴァイオリンやチェンバロ、トローンボーン、リコーダーなどバロック音楽ではお馴染みの楽器の他、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リローネ、レガーレ、ヴィオリーノ・ピッコロ、トリプルハープ、アーチリュート、ツィンク(コルネット)など現代のオーケストラでは使われない珍しい楽器が彩りを添え、地上と冥界を巧みに表現します。
中でもオルフェオが冥界への渡し守カロンテをなだめようとして歌う「力強き精霊よPossente Spirito」は主役のオルフェオの華麗な装飾を伴った歌声にヴァイオリンやハープでの木霊の効果が重なり、幻想的な効果を醸し出します。このオペラの中での一番の聴きどころといえるでしょう。
今年の福岡・音楽の秋2018を締めくくるのは、2010年以来の来福公演となる、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。彼らは「ドイツ音楽の伝統の響きを未だに守っている唯一のオーケストラ」といわれています。
今公演では2015年より新たにタッグを組んだカリスマ指揮者、ワレリー・ゲルギエフとともに、ブルックナーの交響曲第9番を演奏。この曲は、晩年の彼が最後に取り組んだ交響曲で未完成です。今回はノーヴァク版で演奏されます。
そして、待望のアクロス福岡初来演となる、スターピアニスト、ユジャ・ワン。ニューヨークタイムズで「最高の若手ピアニストの一人」と称されるほど、超絶技巧の曲も難なく弾きこなし、ダイナミックな音色に魅了されます。
そんな彼女が今回取り組む曲は、雄大なスケールの作品ともいえる、ブラームスのピアノコンチェルト第2番。ゲルギエフ×ミュンヘンフィル×ユジャ・ワンによるハーモニーをぜひお楽しみに。今秋、聴き逃せないコンサートになること間違いなしです。