オオキツネノカミソリという花をご存じだろうか。高さ30cm〜50cmのヒガンバナ科の多年草で葉が枯れた7月下旬から8月上旬にかけて、彼岸花のようにまっすぐに伸びた花茎の先に、鮮やかなオレンジ色の花をつける。花の名の由来はキツネの体の色と葉が日本剃刀の刃のように細くて鋭いところから名付けられている。畦道に列をなして咲く彼岸花とは対照的に、ブナ等の落葉樹林帯に群生して咲く。

群生地は前原市と佐賀県の県境にある井原山(いわらやま)の中腹、水無鍾乳洞駐車場から入った登山道沿いにみられ、西日本最大といわれる。沢沿いに20分ほど山道を歩いていくと、登山道の両側にその花の姿がちらほらと見えはじめる。さらに5分ほど登ると木漏れ日がさす斜面一帯に、文字通りオレンジ色の絨毯を敷きつめたような大群落に圧倒される。なにやらキツネにだまされたようで幻想的ですらある。

足に自信のある方はさらに登山道を進めば、360度遮るもののない井原山山頂に到着することができる。花を愛で森林浴を楽しんだあとは、202号バイパス沿いにある「伊都菜彩(いとさいさい)」に立ち寄るとよい。昨年の年間売上全国一位となったこの直売所は、新鮮な地元農畜産物や海産物が豊富にそろっている。

【井原山水無林間歩道へのアクセス】
問い合わせ：前原市観光協会／前原市商工観光課
TEL：092-322-2098／092-323-1111
アクセス：JR筑肥線「波多江駅」より コミュニティバス「波多江駅西」乗車。「井原山入口」で下車し、約5kmで水無鍾乳洞入り口