明治日本の産業革命遺産
九州・山口と関連地域 <1>
概要
幕末~明治期の急速な産業化を物語る遺産群
造船、製鉄・鉄鋼、石炭産業など日本の重工業分野は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて急速な産業化を遂げました。西洋の科学技術が日本の伝統的な文化と融合し、日本が非常に短期間で産業化を遂げたことは、技術の歴史などにおいて類いまれなことです。その過程を一連の産業遺産で構成するのが、「明治日本の産業革命遺産九州・山口と関連地域」。これらの資産は、8県11市にあり、地理的に分散しています。しかし、群として全体で顕著な普遍的価値を有しており、一つの範囲を構成する日本初の本格的な“シリアルノミネーション”*1による世界遺産登録を目指しています。
ユネスコへ推薦書提出。2015年の登録を待つ!
「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」は、2008年9月に世界遺産の暫定リストに追加記載されることが決定しました。これを受けて同年10月、関係する県と市によって世界遺産登録推進協議会が設置され、世界遺産登録に向けて本格的な活動を開始しました。そして国内外の専門家を招いての構成資産の検討や、世界遺産シンポジウムなど具体的な取り組みを進め、2014年1月にユネスコ世界遺産センターへ推薦書(正式版)を提出。国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の調査・審査を経て、2015年のユネスコ世界遺産委員会で登録の可否について審議される予定です。
*1 シリアルノミネーション・・・複数の資産を、同じ歴史・文化群などのまとまりとして関連づけ、全体を世界遺産として推薦すること。
福岡県は、「三池炭鉱・三池港」「官営八幡製鐵所」が対象となっています(下記一覧参照)。次回からは、2ヵ月にわたって「官営八幡製鐵所」の構成資産について紹介していきます。
「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の構成資産一覧
エリア |
サイト |
構成資産 |
萩(山口県) | 萩の産業化初期の時代の遺産群 | 萩反射炉、恵美須ヶ鼻造船所跡、大板山たたら製鉄遺跡、萩城下町、松下村塾 |
鹿児島(鹿児島県) | 集成館 | 旧集成館(旧集成館機械工場、旧鹿児島紡績所技師館含む)寺山炭窯跡関吉の疎水溝 |
韮山(静岡県) | 韮山反射炉 | 韮山反射炉 |
釜石(岩手県) | 橋野鉄鉱山 | 橋野鉄鉱山・高炉跡 |
佐賀(佐賀県) | 三重津海軍所跡 | 三重津海軍所跡 |
長崎(長崎県) | 長崎造船所 | 小菅修船場跡、 三菱長崎造船所第三船渠、 三菱長崎造船所ジャイアント・カンチ レバークレーン、 三菱長崎造船所旧木型場、 三菱長崎造船所占勝閣 |
高島炭鉱 | 高島炭坑、端島炭坑 | |
旧グラバー住宅 | 旧グラバー住宅 | |
三池 (福岡県・熊本県) |
三池炭鉱・三池港 | 三池炭鉱、三池港 (宮原坑、万田坑) (専用鉄道敷跡) (三池港) |
三角西港 | 三角西(旧)港 | |
八幡(福岡県) | 官営八幡製鐵所 | 官営八幡製鐵所 (旧本事務所) (修繕工場) (旧鍛冶工場) 遠賀川水源地ポンプ室 |
「九州・山口の近代化産業遺産群」世界遺産登録推進協議会事務局
(鹿児島県企画部世界文化遺産課)
TEL:099-286-2364