#3 油須原駅 平成筑豊鉄道
石炭輸送で栄えた
栄華がしのばれる
広い構内はその名残り
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120年以上続く古豪駅舎
平成筑豊鉄道は1989(平成元)年、国鉄からJR移行時に福岡県、田川市ほか周辺都市が出資した第3セクターで、田川線、伊田線、糸田線を運行。田川郡赤村にある田川線・油須原(ゆすばる)駅は、1895(明治28)豊州鉄道開通時に建設された古い駅舎が今も現役。2段瓦屋根の木造駅舎は美しい状態を保ち、同鉄道はもちろん、九州の鉄道で最古の駅舎と言われている。ドラマ「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」で、主人公を母が見送るシーンが油須原駅で撮影され、その際使われた看板、時刻表などのセットがそのまま駅舎内に残っている。
ホームに立つと、1両編成のディーゼルカーには不釣り合いの、広い構内に目がいく。1970年代まで田川線は、石炭・石灰石輸送の重要線であった。伊田駅=現・田川伊田から油須原駅まで登り勾配が続き、長大な貨物列車をけん引する蒸気機関車には補助機関車が必要だった。駅舎寄りホームと逆側ホーム間が開いているのは、この補助機関車の機回し線や留置線があった名残りである。
戦後、油須原駅から現在の嘉麻市を結ぶ油須原線が計画された。建設が進む中、石炭中心のエネルギー事情が大きく変化、完成目前で頓挫し未成線となった。油須原駅隣りの赤駅からは、この油須原線跡を使って往復3.4kmの観光用「赤村トロッコ」が不定期で運行。また、赤村では2018年秋に「未成線サミット」開催が予定されている。
油須原駅周辺には、開業時から残存する鉄道遺産が2カ所あり、いずれも登録有形文化財。まず、「内田三連橋梁」は、橋下を流れる川の上流、アーチ部が石積、下流がレンガ造りだ。次に、九州最古の鉄道トンネル「第一・第二石坂トンネル」。第一はレンガ構造、第二の坑内は切り石積みとアーチ部がレンガ構造。ドイツ人技師が設計し、当時複線化を想定した広い横幅が特徴だ。
(文・写真 東 淳二郎)
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#駅ジェニック