#17 西鉄柳川駅/西日本鉄道
水都を連想させる
デザインの駅舎
天神まで特急で49分
地域を味わう旅列車も発着
福岡県南部にある柳川市は「水都」と呼ばれる。城下町を縦横に巡る掘割をどんこ舟でのんびり遊覧する川下りが知られ、年間120万人の観光客が訪れている。その中心駅が西鉄天神大牟田線・西鉄柳川駅で、1937年に九州鉄道・柳河駅として開業。西日本鉄道が発足した1942年に西鉄柳河駅に、1971年に西鉄柳川駅と改名した。以前は、1.5kmほど北に国鉄佐賀線・筑後柳河駅もあったが、1987年に佐賀線とともに廃止になっている。西鉄柳川駅のホームは2面4線、大牟田駅側には車両基地が見える。1日の発着数は、福岡(天神)方面が77~80本、大牟田方面が74~77本。福岡(天神)駅を特急電車が49分で結んでいる。現在の橋上駅舎は、水や舟を連想させる形と和が調和し、「水都」の表玄関にふさわしい秀逸なデザインで、八女杉や自然素材を生かしたもの。2015年には駅舎+駅前広場+東西自由通路がグッドデザイン賞を受賞している。
柳川からの帰りは、地域を味わう旅列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に乗ってみた。大牟田駅を17時40分に発車する「地域を味わうディナーの旅」で1人8,000円(税別)。18時21分発の西鉄柳川駅からの乗車も可能。
3両編成の外観はキッチンクロスをイメージした赤いチェック。ロゴにはイチゴ、葡萄、酒、川下り、大牟田の世界遺産など筑後にまつわるものが描かれている。レストランのエントランスを思わせる入口から早速車内へ。1号車と3号車は客席、2号車はピザ窯を中心としたキッチンと客席。インテリアは大川家具、八女の手編み竹細工の天井、城島瓦のいぶし銀を生かした壁面など筑後産をふんだんに使用。床には線路に敷かれる砂利を加工した人造大理石だ。
出発すると、ウエルカムドリンクのあまおうスパークリングワインで乾杯。筑後産を取り入れたアミューズ、野菜のプレート、博多和牛に続いて、メインは八女産たけのこと大木町産アスパラガスのピザ。筑後平野に沈む夕日、徐々に都会に近づく車窓を眺めながらおいしい料理を堪能。プチフールを頂くと、20時13分に福岡(天神)駅に到着した。金曜夜だったのですれ違う電車は満員で、非日常的な列車食堂の旅になった。
(文・写真 東 淳二郎)
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