#21 田主丸駅/JR九州
全国的に知られた
河童デザインの駅舎
冬にはライトアップ
河童の町への表玄関駅
九州を東西に横断する鉄道は、北に久大本線(久留米-大分)、南に豊肥本線(熊本-大分)がある。田主丸駅は久大本線の駅で、久留米市東部の田主丸町に位置する。町名の由来は「楽しく生まる」。南側には耳納(みのう)連山が広がり、豊かな自然を生かした葡萄、イチジク、柿やミカンなどの栽培で知られていて、夏から秋は果物狩りでにぎわう。町の北端に筑後川、中心部を巨瀬(こせ)川、ひばり川が流れていることもあり、河童伝説が数多く残っている。河童のオブジェ、石像や石碑を巡ることができる観光マップまで用意されていて、まさに河童の町。そんなこともあり、田主丸駅は、全国でも珍しい河童の形をした駅舎が有名だ。田主丸駅は、1928年久留米-筑後吉井の開通時に、国鉄駅として開業。1992年に河童駅舎が誕生。駅舎のデザインは地元の浮羽工業高校生徒が手掛け、黄色い口ばしと緑の頭が特徴。駅舎内に田主丸ふるさと会館も入居し、観光発信の拠点になった。さらに、2018年7月には、駅舎内を改修し、カフェ&セレクトショップKAPATERIA=カパテリアがオープンしている。
2面2線の相対式ホームは、駅舎寄り1番線に日田駅方面の下り列車、跨線橋で結ばれた2番線は久留米駅方面の上り列車が行き来する。2番線ホームには、大きな“お迎え河童”があぐらをかいたユニークな姿で鎮座している。駅名板には、河童と葡萄のイラストが。現在、1日下り26本、上り25本の列車が発着。その中で、特急「ゆふ」(博多-大分・別府)が上下2本停車する。また、日曜日の早朝には、豪華クルーズトレイン「ななつ星in九州」も目にすることができる。
駅舎内のカパテリアに入ってみると、カッパのマカロン、キュウリが使われたオープンサンドなど、楽しいメニューが揃っている。窓からは、ホームに到着し発車する赤や黄色のディーゼルカーに加え、観光特急「ゆふいんの森」号も目の前を通過して行く。鉄道ファンでなくとも、ワクワクする瞬間だ。駅舎は、12月から1月まで田主丸町商工会青年部の手によりイルミネーションでライトアップ。昼とはまた違った雰囲気で、冬の風物詩になっている。
(文・写真 東 淳二郎)
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