#24最終回 採銅所駅/JR九州 - アクロス福岡
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駅ジェニックふくおか

#24最終回 採銅所駅/JR九州

採銅所駅

銅の採掘が地名の由来
大正ロマンの
洋風駅舎は町の誇り


採銅所駅

桜が咲き誇る絶景の小駅

日本各地に、桜を愛でる鉄道路線、桜が花開く駅が多数ある。福岡県内では、列車から見られる桜は筑豊本線・筑前垣生駅近くの垣生公園が、桜が咲き誇る駅は日田彦山線の採銅所駅が、イチ押しだ。
採銅所駅は1915年に小倉鉄道の駅として開業。田川郡香春(かわら)町にあり、採銅所の地名の由来は、昔、銅を採掘していたことからといわれている。その後、小倉鉄道は国鉄へ移行。筑豊地区の複雑な路線変更もあり、1960年に城野駅(北九州市小倉南区)から田川市を経由し夜明駅(大分県日田市)を結ぶ日田彦山線になった。
採銅所駅の小倉側・呼野駅(小倉南区)との間には難所の金辺(きべ)峠がある。勾配上の呼野駅は、蒸気機関車がけん引する貨物列車には過酷で、かつて県内唯一のスイッチバックを設けていた。峠を分ける1444mの金辺トンネルは、1897年から切削が始まり、18年の歳月をかけて完成した。田川側にある第二金辺橋梁は、川面の高さから通称「60尺鉄橋」。橋脚は石積み三層で、完成当時からの姿を残す。トンネル、橋とも石炭輸送が華やかなころの建設で、複線化を念頭にしているのが特徴。この2か所は福岡県の鉄道遺産に認定されている。
開業時から残る駅舎は、老朽化から建て替えが検討されたが、地元の保存運動により、2010年香春町に譲渡。修復作業が行われ、翌年完成し町の有形文化財に登録された。外壁の飾り、待合室天井の星模様など、大正モダンにあふれた美しい洋風建築で、2015年には開業100周年の記念行事が開催されている。駅舎右手は、香春町地域おこし協力隊が運営する第二待合室。移住や交流、地域外の人たちとの拠点として、イベントや香春産のものを使ったワークショップなどが行われている。現在、採銅所駅には上下各24本の普通列車が発着。ホームは単式2面2線で、駅舎側に下り田川方面の1番線、踏切を渡って小倉方面が2番線になる。
普段はのんびりとした採銅所駅に、見事な桜が咲くころ、たくさんの人たちが訪れる。到着する列車の車窓も桜色に。同じ時期には菜の花も見られ、花々に囲まれ、小さな駅は華やいだ雰囲気に包まれる。

(文・写真 東 淳二郎)

採銅所駅

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