北九州市を代表するB級グルメと言えば「小倉発祥焼きうどん」。その歴史は終戦直後の昭和20年まで遡る。当時は食糧難でそば玉が手に入りにくく、食堂の店主が焼きそばを作ろうとしたところ、そば玉がなかったため、やむなく干しうどんを茹で焼いて代用したのが始まりとされている。

茹で置きが出来ない分調理に手間ひまがかかるため、現在では乾麵を使用する店舗は少なくなったが、焼きうどんのもっちりとした食感や、しっかりとした焼き目を出すにはやはり乾麵は欠かせない。他にも削り節にアジやサバ節を使用したり、小倉地酒で香りを出したりと小倉らしさを出しながら、それぞれ秘伝のソースや薬味にもこだわりを持っている。

また、気軽に家庭で作ることができるのもB級グルメのいいところ。小倉には北九州の台所と言われる「旦過(たんが)市場」があり、豊前市や関門海峡の安くて新鮮な食材が所狭しと並んでいる。少し歩くだけでも「いらっしゃい、いらっしゃい！」と威勢のいい掛け声が飛んできて、お店の人との会話も弾み、ついつい財布の紐も緩んでしまう。

昔懐かしい焼きうどんはそんな人情味溢れる町で生まれ、今も地元の人に愛され続けている。