戦後、日本有数の産炭地であった田川市では、ホルモンは過酷な労働者の胃袋を満たす、安くて栄養のある食べ物として好まれた。当時は鍋の代わりにセメント袋を七輪に載せ、ホルモンを焼いて食べていたそうだ。

現在は「田川ホルモン鍋」として地元で食べられており、市内に8店ほどあるお店はそれぞれ味付けも異なる。特徴は、中央がくぼんだ独特の形をした鉄板で下味をつけたホルモンを焼き、その上に玉ねぎやキャベツ、ニラなどの野菜をたっぷり載せ蒸し焼きにして食べる。新鮮でプルプルのホルモンは臭みもなく、噛めば噛むほどに独特のタレの味が口いっぱいに広がり、野菜はホルモンの味がしみ込みいくらでも食べられる。ヘルシーで栄養満点の食べ物として小学校の給食のメニューにも登場し、子どもたちにも人気が高い。

戦後の炭鉱労働者の胃袋を満たし、現在も田川市民に食べ続けられる「田川ホルモン鍋」は、まさに老若男女に愛される田川市のソウルフードといえる。