うきは市筑後吉井伝統的建造物群保存地区
―うきは市―
うきは市吉井町は、日本三大あばれ川筑紫次郎と呼ばれた筑後川に接しており度重なる水害とその高低差のため多くが荒地であった。住民は庄屋のもとに結集し、長い年月をかけ多くの水路と堰を造り新田を開発し、江戸後期から大正にかけて豊後街道沿いの在郷町(*さいごうまち)として大いに繁栄した。東西に流れる南新川は江戸時代から変わらず今も豊かな清流が町を潤す。
国道沿いには、明治時代のままの大きな土蔵造りの町家が軒を連ねており、防火のため、どの家も上部は漆喰で塗りこめていて、下部はなまこ壁(▲1)で風雨に備えている。40帖の2階座敷(▲2)を持つ「町並み交流館商家」は、一般に開放され、食事を楽しむこともできる。また、ちょっと路地を入ると縦横に水路を配した古い町並みが残っている。
塀をめぐらし庭のある「居蔵の館」は規模も大きく、2階への吹き抜け(▲5)は現代建築のようだ。毎年5月に催される小さな美術館巡りの時は狩野派の金箔屏風画なども展示され、絢爛豪華な当時の豪商の気分に浸れる。水路の水を庭に引き込んだ「鏡田屋敷」も含めると3棟も無料で見学できるのがありがたい。
水車を使った製粉に起原を持つ麺類も有名だが、春は苺、秋は巨峰や柿など果物が本当においしい。のんびりした雰囲気で古道具屋をのぞくのも楽しい町だ。
*在郷町… 近世に農村部で商工業により発展した町
●筑後吉井の小さな美術館めぐり
期間/ 2012年5月3日(木・祝)~ 5月5日(土・祝)
問い合わせ/うきは市観光協会
TEL:0943-76-3980(9:00~17:00)
写真・文|大森久司
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場所・お問い合わせ
うきは市吉井町アクセス
うきは市観光協会 吉井支局
TEL:0943-76-3980
※ボランティアガイド有りJR 久大本線「筑後吉井」駅下車 徒歩10分備考「町並み交流館商家」「居蔵の館」「鏡田屋敷」…月曜休館
▲2「町並み交流館商家」
2階40畳座敷
▲3 国道沿いの「町並み交流館商家」
▲4「居蔵の館」
▲5「居蔵の館」吹き抜け
▲6 南新川
▲7 民家お雛様