太宰府天満宮本殿
太宰府天満宮末社志賀社本殿
―太宰府市―
菅原道真は右大臣の身から左遷幽閉され西暦903年に太宰府の地で亡くなったが、その墓所に造られたのが太宰府天満宮本殿である。桧皮葺(ひわだぶき)*1の神社建築で一般的な流造(ながれづくり)と呼ばれる反りのある単純な大屋根がかけられている。「もや」と呼ばれる建物中央には御神体が二重の板壁で囲われ安置されているという。戦国時代に一時期荒廃したが、領主として着任した知将「小早川隆景」により西暦1591年に再建された。通常の神事が行われる前面庇(ひさし)部分と唐破風(からはふ)(写真▲2)*2は桃山時代の豪華絢爛な造りで極彩色の彫物が施されている。
一方太鼓橋のたもとにある志賀社本殿は室町中期に建造された。繊細な組物が美しい上品な一間(いっけん)四方の小建築だ。共に重要文化財に指定されているが室町と桃山の違いが分かる好例と言えるだろう。
道真は非常に賢い人で、学問の神、天神様として日本中に広まり今では受験生の守神のようになっている。境内(写真▲3)は修学旅行や国内外の観光客で大賑わいだが平安時代の秘められた歴史を知る人は多くはなさそうだ。
近くにはお庭の美しい光明寺、九州国立博物館などがあり足を延ばせば特別史跡大宰府政庁跡が古代への憧憬を誘う。中世に起原を持つ参道には木造3階建の旅籠を改装したお土産物屋(写真▲4)などもあり、お茶と梅が枝餅を頂きながら歴史をたどるのも楽しい。
*1 桧皮葺き・・・日本古来の屋根葺き工法で桧の皮を重ねて竹釘で止めていく。
*2 唐破風・・・日本建築の屋根で中央に起りを付け両端に反りを入れた屋根。鎌倉時代から発達した日本独特の形式で格式ある玄関などに使われる。
写真・文|大森久司
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場所・お問い合わせ
太宰府市宰府4-7-1アクセス
太宰府天満宮社務所
TEL:092-922-8225(9時~17時)西鉄電車「太宰府」駅徒歩3分備考
▲1 志賀社
▲2 唐破風
▲3 境内
▲4 お土産物屋
▲5 花嫁行列