福岡城 南二の丸多聞櫓(たもんやぐら) ―福岡市―
福岡藩黒田家五十二万石の福岡城は、福岡市の中央に位置する。大濠と那珂川を外堀にした広大な構えで、平成26年のNHK大河ドラマに決まった戦国武将黒田官兵衛(本名孝高)と息子長政が築城した。大天守閣は当初から無かったようだが石垣は実戦を想定し、壮大で複雑かつ周到な造りで周辺を威圧した。
福岡藩は維新前後、内紛や不祥事が続き、廃藩置県前に明治政府からとり潰されるという不名誉なことになってしまった。たくさんあった櫓や御殿で当初のまま残るのは、南二の丸西側の多聞櫓(写真▲1)のみである。石垣に沿って平櫓(ひらやぐら)が三十間あり、南北端には2層の角櫓(すみやぐら)が建っている。江戸末期に改修が行われ、北櫓(写真▲2)は戦後に鉄筋コンクリートでつくられたが、外観はほぼ創建当時なのが絵図から分かる。見上げると、高く切り立った石垣の上に腰板張りの壁がおおいかぶさり、鉄砲狭間や石落としが見える。角材の方杖(ほうつえ)で庇(ひさし)を長く持ち出し腰板の劣化を防ぐ工法は城内の建物にも多用されているが、仮設的に見えるため福岡城以外ではあまり見られない。室内は天井も張らず小屋裏の竹簀子(写真▲3)から瓦が直接見え、内装も荒削りで戦闘用の櫓であることが分かる。黒田家の経済状況と合理主義を反映したものだろう。
今では桜だけでなく、つつじや菖蒲、紅葉も美しい市民の憩いの場となったが、秀吉からも恐れられ関ヶ原の折は天下を取るつもりでいたほどの才子官兵衛は、この櫓からどのような思いで城下を見つめていたのだろう。
「福岡城さくらまつり」
3/26(火)~4/7(日)
* ライトアップは 3/28(木)~(18:00~22:00)
お問い合わせ:
「福岡城さくらまつり」実行委員会
TEL:092-711-4424
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場所・お問い合わせ
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※観光ボランティアのお問い合わせ
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▲2 北櫓
▲3 小屋裏の竹簀子
▲4 南櫓
▲5 第11回森・花・緑のまちかど写真コンテスト入賞作品 「夜桜爛漫」