大本山善導寺 本堂 他8棟 ―久留米市― - ふくおか建物紀行 - アクロス福岡
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ふくおか建物紀行

大本山善導寺 本堂 他8棟
―久留米市―

大本山善導寺
▲ 大本山善導寺

筑後川流域の豊かさは、素晴らしい近世の文化財建築で今にその隆盛を伝えている。中でも最も規模が大きいのが法然上人(ほうねんしょうにん)(1133-1212)の直弟子鎮西上人(ちんぜいしょうにん)(1162-1238)が鎌倉時代1208年に開創したと伝わる浄土宗大本山善導寺である。

門前町の通りを歩くと、院と呼ばれる寺が連なった長さ200mほどもある石畳の参道が左に見える。1651年に造られた大門(▲1)(重要文化財)や二階建ての三門をくぐりぬけ伽藍の中に入ると、江戸時代に建設された重要文化財8棟のほか、輪蔵(▲3)を収めた経蔵、鐘楼や廟(びょう)など多くの建物がある。深い庇や反りのきいた屋根は、いずれもデザイン力のすぐれた美しい印象を与える。

藩主など特別な人だけが使った表玄関(▲2)は、当時の華やかな色彩が再現されている。ギリシャのパルテノン神殿と同じように門を本体の軸線からわざとずらし、斜めから玄関全体を見れるようにしてある。書院*1は、茅葺で濡れ縁が廻り中庭を石庭風(▲4)に造ってある。本堂(▲5)などの本瓦葺との屋並みの重なりが実に美しい。お坊さんが生活する庫裏(くり)(▲6)も、吹き抜けに大きな松丸太が縦横に掛かる豪快な空間だ。コンサートが開かれることもあると聞いた。その隣の食事を作る釜屋は、屋根裏まで煤で真っ暗に見えるが、何人分の食事が作られたのだろうか想像もつかないほど大きい。

宝物殿には鎌倉初期から江戸までのさまざまな掛け軸や巻物が保存されている。筑後川の洪水で犠牲になった多くの人のために祈りをささげた往時の遺物などもあり、信仰心厚い人々の思いが今に伝わる。

*1 書院(しょいん)・・・僧侶や武家の公的な居間兼書斎。畳敷きで床の間や付書院がある。

他8棟・・・大門・大庫裏・釜屋・広間・書院・役寮西・役寮東・中蔵

写真・文|大森久司

  • 場所
    久留米市善導寺町飯田550
    お問い合わせ
    TEL:0942-47-1006
    アクセス
    JR善導寺駅から徒歩15分
    営業時間
    9:00~16:00(年中無休)
大門
▲1 大門
表玄関
▲2 表玄関
輪蔵
▲3 輪蔵
書院
▲4 書院
本堂
▲5 本堂
庫裏
▲6 庫裏