八朔の馬 〜
長男の誕生を祝い、健やかな成長を願う勇壮な藁の馬
旧暦の8月1日にあたる「八朔(はっさく)」。稲が実り始める時期として「田の実の節句」とも呼ばれ、秋の恵みを祝う風習が全国各地に残っています。福岡県遠賀郡芦屋町ではこの八朔の節句に、長男の誕生の祝いとして、藁を材料にした馬を作って飾り、近隣の住民に配るしきたりがあります。三百年以上の歴史を持つこの行事は、現在も新暦の9月2日早朝に行われています。長女には「だごびーな」と呼ばれる米の粉でできた人形を作り祝う行事も、同時に行われます。
馬を作る由来は、天皇家や貴族の荘園がこの地域にあり、献上する馬がいたという説、また大勢の武士や馬が通る壮観な大名行列を地元の人々が見たからだという説などさまざまです。近隣に配らず家に残す『大将馬』の存在などは、長い歴史の中でも変わらない、我が子への深い愛情を感じさせてくれます。
白浜町にある「井上工房」の井上和代さんは、作り手として約30年前から八朔の馬の良さを伝え続けています。原料となる藁は、稲刈りの季節の終わりに調達します。2週間乾燥させ、一年分の藁を収納しますが、品種改良の影響もあり、昔ながらの丈夫な素材を確保するのが難しくなったそうです。
馬を作る工程は、まず藁を霧吹きなどで濡らし、木の台で叩いて柔らかくします。それから馬の頭にあたる部分を三つ編みの要領で編み込み、形を作ります。首や胴体、足の部分は、束ねた藁を凧糸で縛り成形していきます。稲穂の枝で尻尾をつくり、最後に武将の紙人形や旗などで飾り付けると、高さが25cm程度の馬なら約15分程度で完成します。遠賀郡山鹿の豪族山鹿秀遠(やまがひでとお)や黒田長政、加藤清正など名武将を乗せていることが多く、「男の子が元気で勇壮に育つように」という思いが込められています。
現在、井上さんは地元の中学生などにも馬を作る指導をしています。また町おこしイベントなどでは数百の藁の馬が並ぶなど、八朔の馬は今も郷土で愛され続けています。
馬を作る由来は、天皇家や貴族の荘園がこの地域にあり、献上する馬がいたという説、また大勢の武士や馬が通る壮観な大名行列を地元の人々が見たからだという説などさまざまです。近隣に配らず家に残す『大将馬』の存在などは、長い歴史の中でも変わらない、我が子への深い愛情を感じさせてくれます。
白浜町にある「井上工房」の井上和代さんは、作り手として約30年前から八朔の馬の良さを伝え続けています。原料となる藁は、稲刈りの季節の終わりに調達します。2週間乾燥させ、一年分の藁を収納しますが、品種改良の影響もあり、昔ながらの丈夫な素材を確保するのが難しくなったそうです。
馬を作る工程は、まず藁を霧吹きなどで濡らし、木の台で叩いて柔らかくします。それから馬の頭にあたる部分を三つ編みの要領で編み込み、形を作ります。首や胴体、足の部分は、束ねた藁を凧糸で縛り成形していきます。稲穂の枝で尻尾をつくり、最後に武将の紙人形や旗などで飾り付けると、高さが25cm程度の馬なら約15分程度で完成します。遠賀郡山鹿の豪族山鹿秀遠(やまがひでとお)や黒田長政、加藤清正など名武将を乗せていることが多く、「男の子が元気で勇壮に育つように」という思いが込められています。
現在、井上さんは地元の中学生などにも馬を作る指導をしています。また町おこしイベントなどでは数百の藁の馬が並ぶなど、八朔の馬は今も郷土で愛され続けています。
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問い合わせ先・見学先
井上工房
住所:福岡県遠賀郡芦屋町白浜町4-18
TEL:093-223-1894
見学や体験は連絡、予約が必要です。
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9月24・25日(毎年秋に開催)に、芦屋町民会館で「筑前芦屋だごびーな・わら馬まつり」が開催されます。
【お問合せ先】
芦屋町役場 地域づくり課 地域振興係
TEL:093-223-0881(代)
▲藁を編み込み馬の頭の部分を作成
▲藁を柔らかくするために、霧吹きで濡らし叩いておく
▲柔くなった藁を凧糸で縛りながら馬の胴体や足を形成
▲最後に武将の紙人形など飾りを付け完成