博多鋏 〜
刀鍛冶の伝統と、職人の日々の鍛錬で極めた抜群の切れ味
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▲1,000℃に熱した鋼を、金床の上で叩き鍛錬する
「手入れを欠かさず大切に使えば、切れ味が一生持つ」と評される博多鋏(ばさみ)。その文化と製法は、約700年前、南宋からの帰化人である謝国明(しゃこくめい)によって日本に伝えられたものがルーツとされています。そのため『唐鋏』という名前で長い間親しまれていましたが、幕末の頃に博多箔屋番(はかたはくやのばん)(現在の博多区冷泉町)の鍛冶屋である安河内宇助(やすこうちうすけ)が現在に近い形に仕上げ、明治以降は博多の刀鍛冶師たちが付け鋼の伝統的な技術を応用した鋏や刃物の製作を始めます。明治20年、宇助の弟子だった高柳亀吉が師匠の商標登録「宇印」を継ぎ、明治25年には正式に博多鋏という名称となり、今に至っています。
戦前には約20件の鋏鍛冶が居たという記録も残る冷泉町ですが、現在では高柳家の三代目である高柳晴一氏が唯一、博多鋏をつくり続けています。100もの工程があるという作業の一部を、現場で見せて頂きました。仕事場では、コークスで1000度に熱した炉(火床)の中に地金と鋼を入れ熱します。次に2つの鉄を合わせる「叩き、鍛錬」の工程です。叩くことで不純物が取り除かれ、質と強度を増した鋏の原型ができあがります。その後の「研ぎ」の工程で使う砥石も含め、仕事場にある道具は全て職人自身が自分でつくります。もっと良くなると創意工夫しながら、細かい工程をひとつひとつ積み重ねて鋏がつくられていきます。頑丈で真っ直ぐであるという昔からの伝統を持ちながら、切れ味や使い勝手という機能性も高い。正に質実剛健という言葉が似合う博多鋏の完成度は、熟練の技の賜物です。
鋏は奥が深い。先代は「ただ研げばいい」と言っていた。博多鋏は特別な道具が無くても技でできる、既にそういう形であるという昔からの考え、教えがある。自分も長年やって理屈より技だと分かった。でもそれが難しい。良い鋏は一日に2本できるかどうか。」と語る高柳氏。販売は予約制で納期は未定、店舗に在庫は一本もありません。それでも博多鋏の良さを知る人々は、職人の入魂の一本が届くのを心待ちにしています。
戦前には約20件の鋏鍛冶が居たという記録も残る冷泉町ですが、現在では高柳家の三代目である高柳晴一氏が唯一、博多鋏をつくり続けています。100もの工程があるという作業の一部を、現場で見せて頂きました。仕事場では、コークスで1000度に熱した炉(火床)の中に地金と鋼を入れ熱します。次に2つの鉄を合わせる「叩き、鍛錬」の工程です。叩くことで不純物が取り除かれ、質と強度を増した鋏の原型ができあがります。その後の「研ぎ」の工程で使う砥石も含め、仕事場にある道具は全て職人自身が自分でつくります。もっと良くなると創意工夫しながら、細かい工程をひとつひとつ積み重ねて鋏がつくられていきます。頑丈で真っ直ぐであるという昔からの伝統を持ちながら、切れ味や使い勝手という機能性も高い。正に質実剛健という言葉が似合う博多鋏の完成度は、熟練の技の賜物です。
鋏は奥が深い。先代は「ただ研げばいい」と言っていた。博多鋏は特別な道具が無くても技でできる、既にそういう形であるという昔からの考え、教えがある。自分も長年やって理屈より技だと分かった。でもそれが難しい。良い鋏は一日に2本できるかどうか。」と語る高柳氏。販売は予約制で納期は未定、店舗に在庫は一本もありません。それでも博多鋏の良さを知る人々は、職人の入魂の一本が届くのを心待ちにしています。
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問い合わせ先
高柳商店
住所:福岡県福岡市博多区冷泉町6-28
TEL:092-291-0613
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▲地金と鋼を合わせる「付け鋼」の作業
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▲「ホウシャ」と呼ばれる粉をまぶして接合する
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▲研ぎの工程。鋼の種類で火花も違いが出る
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▲完成した博多鋏。「宇」の刻印は伝統の証である