新・福岡古楽音楽祭2020 特別編
シギスヴァルト・クイケン指揮・ヴァイオリン
ラ・プティット・バンド
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これぞバッハ演奏の神髄、福岡シンフォニーホールで聴くマタイ全曲
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これぞバッハ演奏の神髄、福岡シンフォニーホールで聴くマタイ全曲
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会 場 | 福岡シンフォニーホール |
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入場料 |
取扱終了 一 般 S席8,000円 A席6,000円(学生券3,000円) 友の会 S席7,200円 A席5,400円(学生券2,700円)※新型コロナウイルス感染症予防対策の一環として、前後左右のお席を空けて販売いたします。詳しくは こちら をご覧ください。 |
曲目 | J.S.バッハ:オラトリオ「マタイ受難曲」 |
お問い合わせ | アクロス福岡チケットセンター |
シギスヴァルト・クイケン(指揮者)インタビュー
Q.シギスヴァルト・クイケンさんの来日は3年ぶりですね。(前回来日は2017年10月21日)その際は、ハイドンの歌劇「ラ・カンテリーナ(歌姫)」をメインに演奏いただきました。今回は、J.S.バッハの最高傑作とも称される「マタイ受難曲」を披露いただきます。この曲の聴きどころや魅力を教えてください。
「マタイ受難曲」は、バッハの傑作とよく考えられています。実に印象的な作品です。この曲を聴くと、バッハの作曲技法に内在する質の高さと深みに驚嘆し、魅了されます。それが3時間近くも続くのです…。
〈マタイ福音書〉の福音史家は、イエス・キリストの受難の物語を詳しく語り、この残酷なエピソードにおけるさまざまな登場人物に生命を吹き込みます。それは、彼自身の最も独特な感情を極めて個人的に表現したり解釈したりするものではなく、むしろ聴き手に対して、一種のガイドラインのように、この物語を理解させ、その深い意味へと入らせようとするものです。
Q.ラ・プティット・バンドのマタイ受難曲は、通常の編成とは異なり小編成の声楽と古楽オーケストラで編成されているそうですね。この編成がもたらす効果はどのようなものなのでしょうか?
オリジナルの手稿譜に従えば、バッハがライプツィヒの聖トーマス教会や聖ニコライ教会で毎週カンタータを演奏していた時と同様に、バッハのマタイ受難曲の編成が、現代の演奏に見られるものよりも小編成だったことがわかります。四重唱が2つだけ。追加の3人の歌手。エヴァンゲリスト(福音史家)の言葉は、第1合唱のテノール歌手によって歌われます。そしてイエスの言葉は、同じ第1合唱のバス歌手によって歌われます。全員がいくつかのソロ・アリアを歌い、そして数多くのコラール部分の演奏に加わります。
「マタイ受難曲」には、2つのオーケストラが使われています。とはいえ、実際には2つの合唱のそれぞれを楽器で補完するものにすぎません。それぞれのオーケストラは、バッハの毎週のカンタータでの基本的な楽器編成に対応しています。すなわち、2つの第1ヴァイオリン、2つの第2ヴァイオリン、1つのヴィオラ、1つあるいは2つの低音弦楽器。これに、管楽器、すなわち2つのフルート、2つのオーボエが加わります。オルガンは全体を伴奏します(マタイ受難曲では、本来ファゴット奏者は要求されていませんでした)。
このように全体が比較的少数のグループなので、この作品では指揮者を必要としません。また、実際の演奏では、バッハ自身がかなり頻繁にヴァイオリンでリードしていたという確証もあります。このような小アンサンブルでは、結果として、全体の響きが極めて透明になり、総譜の細部までも再現することができるのです…。
Q.世界は、未曾有の新型コロナウイルスの感染拡大により騒然となりましたが、ベルギーのご自宅での”おうち時間„は、どのようにすごされていましたか?
「コロナ危機」が始まるずっと前から、妻と私は、2020年5月にフランスの巡礼の道、つまりリモージュからピレネー山脈に向かって、スペインのサンチャゴ・デ・コンポステラへの古い道を1カ月かけて歩く計画をすでにたてていました。しかし危機が始まった時、国境はすべて閉鎖され、計画を変更せざるを得なくなりました…。最終的に私たちが住む古いブリュージュがある都市コルトレイクの周りを1日20、30キロ歩いては、毎晩家に帰っていました。
私たちは毎日、川岸や運河の側で鳥の声を楽しみました。
Q.福岡での公演を楽しみにしている皆さまにメッセージをお願いいたします。
幸福で希望に満ちた日々をお祈りしております。そして恐れないで。皆さまが住んでいるところの美しいものを楽しんでください。すべては、私たちがそれをどう見るかにかかっているのです。皆さまを音楽で勇気づけたいと願っています。そして福岡で再びお会いできることに感謝し、楽しみにしております。
プロフィール
Sigiswald Kuijken
1944年ブリュッセル近郊生まれ。1964年にブリュッセルの音楽院を卒業。若い頃から、兄ヴィーラントとともに古楽に親しみ、独学で17~18世紀の演奏技術と演奏習慣を徹底して身につけた。これを契機に1969年、顎で楽器を支えず自由に肩に持たせかける奏法を始め、ヴァイオリン音楽へのアプローチに決定的な影響を及ぼし、1970年代初めから多くの奏者たちに採用されることとなった。
1964年から1972年までの間、アラリウス・アンサンブルの一員として活動し、その後も兄弟であるヴィーラントとバルトルド、グスタフ・レオンハルト、ロベール・コーネン、アンナー・ビルスマ、フランス・ブリュッヘン、ルネ・ヤーコプスと個性的な室内楽プロジェクトを立ち上げている。
1972年ラ・プティット・バンド結成。シギスヴァルトは恒久的なリーダーとして精力的な活動を続けている。1986年クイケン弦楽四重奏団結成。1998年以来、しばしば「モダン」の交響楽団を指揮し、シューマン、ブラームス、メンデルスゾーンなどのロマン派のレパートリーにも取り組んでいる。2004年シギスヴァルトの研究により復元された「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」でバッハ時代のチェロ・パートを演奏し注目を集める。
1971年から1996年までハーグ音楽院、同時に1993年から2009年はブリュッセル王立音楽院で教鞭をとっている。その他、ロンドンのロイヤル・カレッジ、シエナ・キジアーナ音楽院、ジュネーブ音楽院、ライプツィヒ音楽大学等で客員教授として教えている。2007年2月にルーヴェン・カトリック大学より名誉博士号を授与、2009年2月にはフランドル政府より「生涯功労賞」が授与された。
La Petite Bande
1972年S.クイケンとG.レオンハルトにより結成されたバロック・オーケストラ。その名称と構成は、ルイ14世の宮廷におけるリュリのオーケストラにちなんでいる。
レコード会社のドイツ・ハルモニア・ムンディが録音する、グスタフ・レオンハルト指揮のリュリの「町人貴族」のために、会社の提案で組織される。アンサンブルの名称とメンバーの数は、ルイ14世の宮廷でのリュリ自身のオーケストラを規範としている。楽団の目的は、古楽器(作曲家当時のオリジナル楽器またはそのコピー)や正統的(オーセンティック)な演奏習慣、オリジナルな演奏技法を用いて、音楽を正統的な形で復活すること、歴史的に忠実な響きと、形式的ではない音楽を実現することにある。録音が大成功だったためにオーケストラは定期的にコンサートや音楽祭に招かれるようになり、結局、恒常的な団体として活動することになる。結成以来、レオンハルトとS.クイケンが指揮を分け合ってきたが、S.クイケンが常任指揮者を務めている。今日ではそのレパートリーも、もはや当初のフランス・バロック音楽に留まらず、コレッリやヴィヴァルディなどのイタリア・バロック、バッハやヘンデルのドイツ盛期バロック、さらにハイドンやモーツァルトといったウィーン古典派にまでおよび、国際的にその演奏は高い評価を得ている。1993年に初来日、ハイドンの天地創造で日本のファンにその実力を披露、以後定期的に来日し、歴史を誇るバロック・オーケストラのパイオニアとして高い水準の演奏で毎回聴衆を魅了している。
ヨーロッパ各地の主要な音楽祭、コンサートホールにも常に登場しており、その自然で美しい演奏は現在増えてきているオリジナル楽器のオーケストラの最高峰と称されている。