博多人形 〜 型にハマらない自由さでリアルな存在感を表現したい。 - 匠の技 - アクロス福岡
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匠の技

博多人形 〜 
型にハマらない自由さでリアルな存在感を表現したい。

国指定の伝統的工芸品でもある「博多人形」
▲国指定の伝統的工芸品でもある「博多人形」
博多を代表する伝統工芸のひとつで、国指定の伝統的工芸品でもある「博多人形」。17世紀の初め、黒田長政が福岡城を築いた時、瓦師の正木宗七が鬼瓦の焼物細工から人形を作り、藩主に献上したのがはじまりだと言われています。古くから各地でも素焼きの土人形が作られ、郷土品として伝えられていますが、各地の素焼き人形と博多人形の違う点を挙げるとすれば、それは、あらゆるモチーフをもとに作家がオリジナル性豊かな人形を作り上げる『自由さ』。博多人形づくりの工程に、石膏を使って人形の元となる「原型」の型を取る「型取り」があります。この工程は、明治時代に博多人形に導入され、複雑なポーズや繊細な仕草など、それまでの素焼き人形になかった緻密な表現を可能にしました。博多人形は、いち早く、モチーフやポーズに制限が無く、複雑な表現もできる『自由さ』を手に入れたのです。

「自由さが特長の博多人形だからこそ、作家には、強いオリジナリティやイメージを膨らませる想像力が必要なんです」と語るのは、博多人形師の川﨑修一さん。「現代に生きている人形師の新しい感性が、伝統ある博多人形にプラスされることで、これまでと違った博多人形の魅力が生まれるのではないでしょうか」と、所属する博多人形作家協会で博多人形を通して福岡の歴史を伝え、博多人形を見直してもらう機会づくりに取り組んでいます。表現方法の自由な博多人形。川﨑さんは、時に、博多人形の優美さを印象づける白い肌さえも自由にアレンジします。「他の素焼き人形が胡粉をそのまま塗って研ぎ出すのに対し、博多人形では粗い不純物が沈殿した後の上澄み部分のみを使って、何度も塗り上げます。だから、透明感がある、しっとりと艶のある肌になるんです。しかし、歴史上の人物の”ダンディズム“を表現するには、自由な発想で、博多人形の持つ素焼きの地の色を活かし、モチーフの世界観に投影します」とのこと。綺麗だけで終らせない作風へのこだわりが感じられました。

  • 川﨑 修一(かわさき・しゅういち)
    川﨑 修一(かわさき・しゅういち)
    博多人形作家協会会員、福岡県美術協会会員、伝統工芸士。優れた技能を持ち、博多祇園山笠千代流人形師として飾り山の人形制作や、博多マイスターとして技能伝承活動に積極的に取り組んでいる
  • 匠ギャラリーにて「第45回博多人形作家協会新作展」
    2008年10月27日(月)〜11月4日(火)まで開催!
    【10:00〜18:00(初日12:00から最終日16:00まで)】
石膏
▲作家の想像力と感性で、練り上げられた粘土から原型を削り取る(上)
頭の部分だけでも、細部にわたって型取りされた石膏(下)
彩色は手作業。一体の見本をもとに寸分違わぬよう彩色していく
▲彩色は手作業。一体の見本をもとに寸分違わぬよう彩色していく
表面をサンドペーパーなどで磨かれ、彩色を待つ状態の人形
▲表面をサンドペーパーなどで磨かれ、彩色を待つ状態の人形