高取焼 〜 茶人に愛されてきた伝統美を心があるものづくりで伝えたい。 - 匠の技 - アクロス福岡
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匠の技

高取焼 〜 
茶人に愛されてきた伝統美を心があるものづくりで伝えたい。

高取焼
高取焼は、上野焼(あがのやき)と並び、黒田藩の御用窯として栄えた歴史ある福岡県の古窯です。廃藩置県の後、一時閉窯するも、戦後、高取静山が中興の祖となり再興されました。今は福岡県の直方市、朝倉郡東峰村、福岡市など数カ所に窯元が点在し、茶陶として名高い高取焼の伝統美と技術は継承されています。

今回訪ねたのは、小石原焼の里としても知られる東峰村にある窯元、高取焼鬼丸雪山窯。2008年に窯を守る当主の号「碧山」を襲名したばかりの鬼丸碧山(へきざん)(本名:鬼丸祐輔)さんに話を伺いました。「陶芸は土から全てが始まる」と語る碧山さん。高取焼の特長を決定づけているのも「土」だと語られます。「小石原で採取される土は細かく、しっかりと焼き締まるのが特長です。粘土にした際、独特の粘りを持つ事から、しなやかなラインが描け、薄く焼き上げても水が染み出る事がないため、磁器にも負けない薄さで作る事ができるんです。当窯では、土の粉砕から先の作業。つまり、粘土づくりから釉薬の材料となる灰づくり、釉薬の配合、窯に使う薪の調達に至るまで、すべて窯内で行っています。それらは、いいものをつくるのに、土に合った粘土、釉薬(ゆうやく)、火入れが大事だから自分達の目や手先を使って事を行うという先代からの教えでもあるんです」と碧山さん。襲名後は、お店で使う器のプロデュースや、茶道に関する水指・茶入を中心に作陶しているとか。「茶陶は、ただ美しいだけでは駄目。作品として物語が必要ですし、茶人の好みを考慮して他の茶道具と調和したものづくりが求められます。何より”もてなし“の心が作品から感じられるかどうかが大切なんです」とのこと。難しいながらも、茶陶づくりを通して”心があるものづくり“の素晴らしさ、楽しさを実感している様子が伝わってきました。

  • 鬼丸 碧山(おにまる・へきざん)
    鬼丸 碧山(おにまる・へきざん)
    高取焼鬼丸雪山窯の三代目。先代から継いだ技や陶芸家としての在り方を次代へつなぐため、弟子の作品発表の場を設けるなど、展示会も積極的に開催している。
  • 匠ギャラリーにて、『高取焼 鬼丸雪山・碧山窯元展』
    2009年5月25日(月)〜5月31日(日)まで開催!
    【10:00〜18:00(初日12:00から 最終日16:00まで)】
碧山さん
▲窯内には電動の轆轤(ろくろ)も並ぶが、最近は、もっぱら蹴轆轤で作陶しているという碧山さん。「電動と違い、自然な流れや動きから生まれる見えない力が作品にも良い形になって現れる」という
先代の頃から使用されている様々な形のヘラ
▲先代の頃から使用されている様々な形のヘラ。木で作られたオリジナルで、木目が細かい桜の木が多く使われている
窯の火入れに使う薪や、釉薬に適した灰の木も自分達で調達。庭の剪定や、山の伐採時に出かけることもある
▲窯の火入れに使う薪や、釉薬に適した灰の木も自分達で調達。庭の剪定や、山の伐採時に出かけることもある
箸置
▲弟子には、従来の高取焼にとらわれない、個人の感性を生かした作陶もすすめている。写真は、お弟子さんの作品で箸置