ものづくり 〜 できることは、全部自分でやる。そして誰もがやらないことをする。 - 匠の技 - アクロス福岡
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匠の技

ものづくり 〜 
できることは、全部自分でやる。そして誰もがやらないことをする。

ものづくり
今回お訪ねしたのは、創作和紙や、和紙と天然木を使った照明や屏風、穴の空いたガラス玉のとんぼ玉を製作する工房紙木衣の村上哲史さん。

57歳で脱サラした後に八女の伝統工芸館で和紙づくりを学び、ものづくりの道を歩まれてきました。「営業職に就いていましたが、定年後は腕に技術を身につけていたいと思ったんです。最初は、八女の和紙職人のところへ弟子入りのお願いに行きました。しかし、人に教えている余裕が無いと言われ、八女の伝統工芸館へ相談したんです。修学者の前例がなく、手続きなど大変でしたが、手漉き和紙の工程をひと通り学ぶことができました」と村上さん。その後、田川市の職業訓練校で木工技術を習得。和紙と木工による工芸品を創作されていましたが、4年前、新たにとんぼ玉を学び、現在に至ります。

「私は伝統の技を学んだけれど、師や流派といった決まりがありません。それに技術や経験年数は十分とは言えません。ですから、自由に、誰もが漉かないような和紙や工芸品づくりをするよう心掛けています。例えば、一般的な和紙は薄さや滑らかさが重要なため、和紙の原料である楮(こうぞ)の繊維はできるだけ細かく裁断されています。しかし私は、楮の繊維をあえて荒く残して漉いたり、繊維そのもので繊維布をつくってみたりしています。楮の繊維布はとても丈夫で、照明に良く合うんですよ」とのこと。作業はもちろん、和紙や木工品の材料集めから、和紙の原料や染料づくり、とんぼ玉の紐の編み込みなどの細部まで「できることは、全部自分でやる」と語る村上さんのものづくりの姿勢は、「誰もやらないことをする」「ものづくりを楽しむ」チャレンジと好奇心に満ちたものでした。

  • 村上 哲史(むらかみ・てつふみ)
    村上 哲史(むらかみ・てつふみ)
    学校や工房などで手漉き和紙体験やとんぼ玉体験会も積極的に実施。子ども達に、ものをつくる楽しみを教えている。とんぼ玉では、今後、若者を意識した作品づくりに意欲を持っている。
  • 匠ギャラリーにて、『和紙と灯りとトンボ玉』
    1月11日(月・祝)〜1月17日(日)まで開催!
    【10:00〜18:00(初日12:00から 最終日16:00まで)】
和紙の原料も、山に入り楮を集めるところから、皮を剥いで繊維にするまで全て手がける
▲和紙の原料も、山に入り楮を集めるところから、皮を剥いで繊維にするまで全て手がける
暖簾などを染める染料で絞り染めした和紙。和紙ならではの滲みと質感が印象的だ
▲暖簾などを染める染料で絞り染めした和紙。和紙ならではの滲みと質感が印象的だ
楮の繊維を薄く伸ばした繊維布。自然の網目が、ふたつとない模様を生み出している
▲楮の繊維を薄く伸ばした繊維布。自然の網目が、ふたつとない模様を生み出している
とんぼ玉は山珊瑚色をメインに、金箔や銀箔を張り込んだものや色を多数溶かし込んだものも
▲とんぼ玉は山珊瑚色をメインに、金箔や銀箔を張り込んだものや色を多数溶かし込んだものも